18.真っ直ぐ


いつこっちに来たんだよ!

速すぎて見えなかった!!


「………」

「痛い痛い痛い痛い!」


必死に叫んでるのに離してくれないよこの人!!

鬼!おっさん!バナナ鬼畜パイン!!

そしてクソバナップ、いったぁぁぁぁぁぁぁああ!!


「その辺にしてやれよマルコ」

「……」


どこからか聞こえてきた(痛すぎて私の耳には入らなかったけど!)声に、頭の締め付け感が無くなる。

私はしゃがみこんで頭を抑える。


「痛…かった…うぅ」

「自業自得だよい」


鬼。鬼畜。悪魔。魔王。

どれも通り越して閻魔よ閻魔。

有り得ない。

あのステキ笑顔を向けていた方は誰よ。

憧れのあの方はいずこへ…っ


「女の子は柔くて傷つきやすいんだからさ、もっと優しく扱わなきゃ。なぁ?」


よしよしと撫でられる優しい手つきにそろりと顔を上げると、サッチさんがこちらを見て笑っていた。


「サッチさん…」


ああ、天使とはまさにこのこと…!

天使とはまさにこのひと…!

いつも、きっと女遊び激しい面白変態野郎なんだなあ…とか思ってごめんなさい!

あなたほどの女の見方はいないよ!

私の中でサッチさんの株がどんどん上昇していく。


「それのどこが“柔く”て“傷つきやすい”んだよい」


サッチさんの優しさに感動しているところに言われた一言。

ねえ、わざわざ“柔く”や“傷つきやすい”を強調しなくて良いんじゃない!?

アンタ本当に最低だな!


「こんなんでも女の子だろ?」

「っ!?」


その一言を言われた瞬間、私の中のサッチさんの株が急減少した。

“こんなん”?


「あれ?さやかちゃん?」

「うっ…酷いです…確かに魅力なんて欠片もないですけど…」


まさかサッチさんに裏切られるなんて…!








真っ直ぐなもの


時には刃物


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[mokuji]

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