13.疑う


side Marco


「帰りたくねえのか?」


エースの、ものすごく純粋な質問。

誰もがきっと聞いてしまうだろう単純な質問。


「そうでもないかなあ。私はこっちの方が好きですよ?」


返された言葉に、ほんの少し空気が冷える。


「私には家族はいませんから。でもこっちには親父さまやエースくんもいて、何よりみんながいるし!戦いとかあるかもしれないけど、こっちの方が賑やかで楽しそうじゃないですか!」


なおしますねと出した物を丁寧に鞄に入れていくさやか。

同情する訳じゃないが…

向こうの世界は、こちらとは違いとても平和だと言っていた。

だとしたら価値観が全然違うはずだ。

平和で退屈な世界に刺激が欲しい。

だからこの世界のような物語を作るのだと言った。

しかしそうというのと、さやかのこちらの世界の方が良いと言った理由は、違うように思えた。


「確かに楽しいぞ!」

「そうでしょうね。漫画でもわいわいやってましたから」

「ここは俺にとって最高の海賊団だ!」

「私もそう思います!ルフィの所もですけどね」


エースが楽しそうに話すのを、なおしながら聞いて答えるさやか。


「あ、そういえばこのサンダルも、この…帽子も、真似っこなんですよ!」


自分の足を指したあと鞄から取り出したのは麦わら帽子。

なんだあの鞄は。

それこそ異次元に繋がってるのではないかというくらいポンポン物が出てくる。


「その麦わら帽はルフィだな!で…そのサンダルは?」

「踵高いけどマルコさんの物の真似です!」


言われた言葉に、つい足元に目がいってしまう。

確かに、どことなく似ている気がする。

自分の真似をされるというのは、なんとも気恥ずかしいもんだなと思った。


「同じような物がなかったのでせめて少しでも似たものをと」


しかし不思議と悪い気はしない。


「…っ」


おいおい。

俺は何を考えた。

怪しい、疑わなければならない相手だ。

忘れたら、いけない。








疑うことも大切だと


昔、誰かに言われた


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