鷹と泡






















―――俺の前に現れたのは
生ける伝説と言われている女海賊だった。







































「久しぶりね。鷹の目」


凛とした声で言葉を紡ぐ目の前の女海賊。


「お前は…」


若き頃は目標ともした彼女が、俺1人が住むこの広い屋敷に突然訪れて来た。


「久しぶりに、ミホークに会いたくなって」

「……、」


ふわりと昔と変わらず微笑む彼女に、柄にもなく逃げたいと感じたのは始めてのことだった。

今、彼女は俺を“ミホーク”と呼んだ。

彼女が相手を名前で呼ぶ時、それはワケか何かがある時。

そしてそれは大抵面倒事なのだ、と。

相場は決まっている。

それはきっと、彼女に深く関わった人間なら誰でも心得ていることだった。

だから俺は、柄にもなく逃げたいと感じたのだ。


「頼みが、あるの」


やはり。

こういう時の勘は特によく当たると言うが、実際には当たってほしくないものだ。


「ね…?ミホーク」


年を重ねて尚、美しく戦場に舞う彼女。

目標、憧れ。

彼女は強い。

引かれた理由は、それだけだったのか。


「ほら、挨拶」


彼女の後ろから現れた少女。


「…よろしく、お願いします。鷹の目さん」


声も容姿も、少女を形作る全てが。

彼女に似ているその少女。


「頼んだわよ」


目的も、理由も。

























彼女はいつでも…

























―――予測不能だった。




 

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