東一番の悪2


ところ変わって数日前。

ここは“偉大なる航路”。

三日月型に広がる湾頭とその後ろに広がる街。

そのさらに後ろ。

世界政府直下

“海軍本部”

その会議室には両側2列、向かい合うようにずらりと海兵達が並ぶ。

彼らの背中には将校の証の“正義”の文字が書かれたマントがある。


「――では少なくとも、もう支部で手に負える一味ではないということか…」


議題にあがるのは、つい先日アーロンを倒したルフィとその一味。


「そういうことです」

「…へェ」

「っ!!」


突然聞こえた、この会議にいるはずのない女の声にざわめく室内。


「誰だ!」

「そんなに手を焼く相手なんだ」


声がしたのは窓側一番後ろ。

長い黒髪を持つ女が壁を背に立っている。

青いシャツに紺色の七分丈のズボンをはき、黒いマントを羽織った、どう見ても海兵ではない女。

だが顔を確認した将校達はハッとした顔をする。


「! あなたはっ!」

「「テンリさん…!!」」


いつ入ったのかと。

所々から聞こえる声。

その中、あけられた中央の道をめんどくさそうに歩くテンリ。


「一々名前をよばなくていい。それ貸してみろ」


前で仕切っていた将校が手に持っていた手配書を取り上げ、「ほう…」とため息に似た声を出す。


「“道化のバギー”千5百万」

「海賊艦隊提督“首領・クリーク”千7百万」

「魚人海賊団“ノコギリのアーロン”2千万…か。やるなあ」

「いや、誉めないで下さいっ」


感心したように言うテンリにすぐさまツッコミの声があがる。


「…たしかに懸賞金の平均が3百万ベリーの“東の海”で、いずれも一千万の大台を越える大物海賊団が、粉砕されているのは事実です」

「…それでその額?」


指をさしたのは新たな手配書。

仕切っていた将校がそれを新たにボードに貼る。


「はい。初頭の手配から3千万ベリーは世界的にも異例の破格ですが、決して高くはないと判断しています」


手配書の写真は、手配書に似合わない満面の笑みを浮かべる青年だった。


「こういう悪の芽は早めにつんで、ゆくゆくの拡大を防がねば!!!」

「まあ、一理あるね。センゴクさんには私が言っておくよ」

「お願いします!!」

「ああ。じゃあな」

「「「………」」」


あの人は一体何をしに来たのか。

その場にいた将校達は皆、去っていく後ろ姿を見ながら不思議に思った。

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