旅の始まり


「もう…!」


“偉大なる航路”

今は穏やかなこの海をぷんすかと頬を膨らまして怒りながら船に乗り航海してるのは、とても小さな少女。


『パパのばか!ジージのいじわる!みんなきらい!』


そう言って飛び出したのはつい先ほど。

船に飛び乗って海に助けてと願った少女。

すると不思議なことに魚たちが船を引っ張ってくれたのだ。

そうして誰も追いつかれること無くこの“偉大なる航路”をここまで進むことが出来たのだ。


「……どーしよ。ね?」


少女は船の先端で羽を休めている鷹に話しかける。


「ピー?」


鷹は少女を見て首をかしげる。


「…ちがう。わたしわるくないもん。パパとジージがわるいんだもん…」

「ピー」

「このままいっしょにきてくれるの?」

「ピー!」

「ありがとう!」


少女は鷹に抱きつくと眩しいくらいの笑顔を向けた。

離れた少女は船から身を乗り出し、青く輝く海を見る。


「おさかなさん!どこかのしままでおねがいね!」


そう少女が言うと、穏やかで波ひとつ無かった海に大きな影が現れた。

それはだんだん海面に近づいてくる。

バチャバチャと音が聞こえてくる。

そう。

この大きな影の正体は、沢山の魚の群れだった。

魚たちは少女の乗る船の前に集まると、海の中に垂れた縄を引っ張る。

すると風が無くとも船はどんどん進んでいく。


「それじゃあしゅっぱーつ!」




















その少女、不思議っ子につき





(どんなしまだろうねー)

(ピー!)

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