外では雨が音を立てて降っていた。しかし今俺の耳には、彼の息づかいと、自分の喘ぎ声しか聞こえてこない。
「は、あ、…」
「…、きんとき」
俺は彼に金を払う。俺は彼に抱かれる。彼は俺に金を貰う。彼は俺を抱く。
金がなければこの情事は成立しない。
一目惚れだった。
仕事が上手くいかず、自棄になり歌舞伎町をふらふら歩いていて、たまたま一件のホストの前を通り過ぎようとしたところ、金時が出て来た。ネオンの光りに反射してきらきらかがやく全身が、きれいで、見取れてしまった。
「おにーさん、熱烈な視線だね。そんなに俺かっこいい?」
「んなこと言ってねえ」
「おにーさんの目がそう言ってるよ?」
心臓が激しく音をたてた。一瞬の出来事なのに、彼は俺の目にすぐ気付いてしまったのか。
「俺を買ってみる?」
「は?」
「おにーさんを慰めてあげる」
あれから関係は始まった。ホストの前で立ち止まらなければ、今頃彼とセックスをする事なんて、俺の人生の中には含まれていなかっただろうに。
下から勢いよく突き上げられ、声を出さないようにと唇を噛み締めた。金時に、キスをしてもらいたい。唇を開いて舌を突き出して、咥内をぐちゃぐちゃに掻き回してほしい。
「土方さん、俺、いく」
「…俺、も、っ」
金をもっと払えば、キスを許してくれるだろうか。