アセムの矛盾 | ナノ

紙の社


「ハザマさんハザマさん、ユウキさんってどこに行けばお会いできるんでしょう」
「知りませんよ。会ってどうするんですか?」
「崇めたて祀る! 祠をこさえて未来永劫後世に遺します! 腕利きの宮大工を雇わなければ!」
「(ここにいるとは一生言わないようにしよう)」

 神はいた。ユウキ教は少なくともわたしとあの時の店主、それと多分ハザマさんもなんとか懐柔したら三人の信者は確定だろう。ああ、マコトも単純だから入ってくれそう。今のわたしなら20000ページに及ぶ聖書も記せそうだ。いずれは統制機構内に広めて、この調子でいけば世界統一も夢では無いだろう。キリシタン大名よ、今に見てろ。

「そうでした。、ずっと気になっていたのですがユウキの発音が違いますよ。バナナでなく子供と同じところにアクセントがきます」
「バナナ? 子供……? やっぱりハザマさんって不潔です」
「昼食はどうしますか。煙草屋の隣に新しく和食屋ができたそうですが」
「今日は魚の塩焼きと煮物で決まりですね!」

 口の中でユウキさんの発音を咀嚼する。ユウキ、ユウキ、何度確認しても素晴らしい響きだ。そして普通だ!





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