アセムの矛盾 | ナノ

同時多発事変


 神様が見えないならばわたしがなればいい。新興宗教に手を出している。これから教祖になると考えたらとめどない感動に包まれる。

「ハザマさん、いやハザマを第一の信者にしてあげますよ」
「教義は?」
「え」
「聖書は? メッカはどこですか? 宗教法人の登記は済ませましたか?」
「それはハザマがなんとかしますよ。信者だし」
「信者は教祖を盲信することしか出来ません。絶対神ミョウジよ、私をお導きください」
「ハザマさん、お腹空きませんか?」

 教祖はやめだ。まずは適当に、組合あたりから始めよう。CEOもいいかもしれない。財閥も捨てがたい。
 でもその場合ハザマさんと、出来ればしっかり者のツバキもいたらいいなあ。無理か、ツバキの神は帝と少佐だった。

「わたしどうしたらいいんですかね」
「知りませんよ。自分でなんとかしてください」
「ハザマさんご飯食べましょう」
「難しいことがあると食に逃げる癖やめた方がいいですよ」

 振り返ったハザマさんの背中にはいつぞやの貼り紙がくっついていた。これは同時多発ユウキ事件だ。彼は帰って服を脱ぐまでこのことに気付かなかったらしい。





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