マジカルシャイニング死罪 | ナノ

薄情な隣人

「ナマエー」
「もう! いい加減にしてよ!」
「なーに怒ってんの? 今日はただ遊びに来ただけだよ」
「あ、ごめん……」
「いいって。で、久しぶりにのえるんと三人でお茶しない? 忙しいかな」
「ツバキは?」
「超多忙って」

 昼休憩を楽しめるのは三日ぶりだ。ノエルとは部隊こそ同じだが顔を合わせるのは久しぶりな気がする。
 太る太ると言いながら各々二種類のケーキを注文して、日頃の愚痴をこぼし合う。平和だ。とても。

「そういえば、のえるんは最近ハザマ大尉と一緒に行動することが多いんだっけ?」
「うん。て言っても軽く任務内容を伝えられるぐらいだけどね。そういえばナマエってハザマさんと仲良いんだね」
「ハザマさんと?」
「ハザマさん、何かにつけてナマエナマエって言ってるから」
「だってよ? どうなの?」

 マコトとノエルが悪そうな笑顔でわたしの返事を待っている。二人の期待するようなことを言えたらどれだけ愉快だろうか。
 無い無い、と笑っていると、喫茶店のドアが勢いよく開く音がした。マコトがそろそろだと思った、と含み笑いした。

「ミョウジ少尉、探しましたよ」
「ハザマ、さん……。何でここに」
「任務です! それも急を要します。清掃道具を持ってただちに私の部屋に来てください!」
「今休憩中なので」
「拒否するならば引っ張ってでも連れて行きます。ヴァーミリオン少尉にナナヤ少尉、お楽しみのところをすみませんね。ミョウジ少尉はお借りしますので」

 示し合わせたかのように二人は引き止めもせず、文字通り引き摺られていくわたしを笑顔で見送った。ノエルもマコトももう友達じゃない。いや、ある意味親友だけど、そうじゃないのだ。

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テーマ「人外ファンタジー」
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