DONT TALK TO ME | ナノ

THREE

「何も殺さなくてもいいと思うんですがねぇ」
「しっ……新聞なんて読むんですね」

 知っているんですか。ハザマさんは細い目ですべてを見ているのではないだろうか。わたしは馬鹿なんだ。そしてひどく心配性なのだ。
 半分以上残った煙草を消して(ハザマさんがするわざとらしい怪訝な表情に腹が立つ)、新聞を覗き込んだ。二十代女性、交際相手を毒殺。

「これ、痴情の縺れって奴ですかね。馬鹿なことしますよねぇ、殺すぐらいなら別れてしまえばいいのに」
「でも、もしかしたらディーブイとか受けてて別れられなかったのかもしれませんし! ハザマさんだって殺したくなるぐらい人にイライラすることとかって」
「女ってこんな時でも女性擁護するんですね」
「女性擁護というか、この男の人だって悪いことしてたんでしょうから……」

 自分の姿が重なる。あの男はわたしを人と思っていなくて、自分のことしか考えていなくて、そもそもわたしはあいつが大嫌いだったのだ。あいつには殺されるだけの理由があったんだ。

「ミョウジさんは行間を読む能力に長けていらっしゃいますねー、御立派御立派。でも何か、その理屈ってイライラして殺したくなるんで私に話しかけないで下さいません?」

 新聞を取り上げて、ハザマさんは部屋を去り際にガサツに捨てて行った。たまにこの人は、驚くぐらい乱暴なことがある。それを見ると背筋が凍るのだ。


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