小説 | ナノ


▼ 15 愛で証明せよ

到着したのは、あるこじんまりとした廃墟だった。天井のガラスをぶち割り、中に飛び込むと由里が金髪の少年に首を絞められている姿が目に入った。

「由里さん!」

執事くんがすかさずシルバーを投げると、少年は軽々とそれを避け、由里を抱えて階段へ飛び上がった。

「いいの〜?この子死んじゃうよ?」

意地汚そうに笑う少年は、いつの間にか取り出したナイフを由里の首元に当て、横に引く真似事をした。

「ホント悪趣味な悪魔ね」

「話を聞きたいので、あの少年は生け捕りでお願いします」

執事くんの言葉に小さく頷いた。

いくら上級と言えども、この程度の悪魔。捉えるには小生1人で十分だったが、由里を人質に取られている分、いささかこちらの方が分が悪かった。
デスサイズを取り出し、カチャリと握る力を強める。

執事くんに耳打ちをし、死神達に合図を送る。
少年に由里を殺す隙を与えない。
全てはスピードが勝負だった。

執事くんのナイフが次々に少年を襲い、死神のチェーンソーが頭をかすめていく。
彼は驚くべき身体能力で、攻撃を鮮やかに交わしていった。

彼等の攻撃に加わりながら、少年の隙を伺う。

いつか、由里から気が逸れる間ができるはずだ。そのタイミングで彼女を救い出すつもりだった。

と、その時、少年は逆にこちらの意表を突き、襲いかかる攻撃の中から由里を抱えて二階へ飛び上がった。

「ざーんねん、タイムオーバー」

そう叫ぶと彼は由里の喉元にナイフを振り上げた。
その光景を見た瞬間、身体中の血液が泡立つ感覚に襲われ、気づくと手が出ていた。
一瞬で間合を詰めると、大鎌で彼の両手をざくりと切り落とす。
少年の驚く顔が目に入った。

「ギャァァァァァアアアアア!」

断末魔のような叫び声が響き、血飛沫がそこら中に飛び散る。自分の服も真っ赤に染まり上がったが、そんなものどうでもよかった。

気絶している由里の身体を抱え上げ、安全な場所に横たえると、まだ泣き叫ぶ悪魔の傍にゆっくりと歩み寄る。

「小生のモノに手を出すと、どうなるかわかったかい?」

ああ、そう言えば執事くんが生け捕りとかいってたっけ。
そんな事を今更思い出したが、この少年が無様な姿で生き絶える姿を見ない限り、自分の怒りは収まりそうになかった。

自分の口元がにやりと歪むのがわかった。
命乞いなんてさせない。もうその口で言葉を刻む暇さえ与えてやらない。

「バイバ〜イ」

少年の首元に大鎌の刃先を当てると、躊躇なく横に切り裂いた。


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