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 混乱渦巻き(1/5)



ハルと別れ、洸汰を相澤の元へ送り届けた際に相澤から戦闘許可を出すことを告げられた緑谷は「戦闘許可が下りたこと」と「敵の狙いがハルと爆豪であること」をマンダレイに伝えるとまずは爆豪を救けるべく森の中へと足を進めていた。



「(みんなどうなってる…!!?かっちゃんたちは肝試しで2番スタートだった…。動いてないならそう遠くにはいないハズ────…)」



その時突然左から大きな手を模した影が緑谷目掛けて襲いかかる。
対応しようとしたが、マスキュラー戦で負った怪我をハルに“譲受”してもらっていたものの完治には至っていなかったため、激しく痛み動くことすらままならない状況だった。

攻撃によって立ち込めた土煙が晴れていくと見えたのはよく知った背中。



「障子くん…!?」



障子は避けられない緑谷を“複製腕”を使って背負い攻撃を避けたのだ。
障子は緑谷のボロボロな状態を見て言った。



「その重傷…もはや動いていい体じゃないな…。友を救けたい一心か。呆れた男だ…」

「今のって…」

「ああ。敵に奇襲をかけられ俺が庇った…。しかしそれが奴が必死で抑えていた“個性”のトリガーとなってしまった…。ここを通りたいならまずコレをどうにかせねばならん」



障子の複製した腕の一つが切り落とされ痛々しく血が流れていた。
その時、緑谷の脳裏に体育祭で常闇が自身の“個性”について言っていたことを思い出す。




「俺の“個性”は闇が深い程、攻撃力は増すがどう猛になり制御が難しい」




二人の目の前には暴走する黒影を必死に押さえ込もうとする常闇の姿。
常闇はそんな二人に向かって叫ぶ。



「俺から…っ離れろ…死ぬぞ!!

「常闇くん!!」



声を荒らげる緑谷に対して静かにするようにと障子は落ち着かせる。

マンダレイからのテレパスを受け一緒にいた障子と常闇はすぐに警戒態勢をとったが、直後に背後から変化自在の素早い刃を操る個性持ちの敵に襲われた。
障子は常闇を庇い、その際に複製の腕を切られつつも草陰に身を隠したとのこと。



「腕…!?」

「なに。傷は浅くないが失ったわけじゃない。俺の“複製腕”は複製器官も複製が可能。切られたのは複製の腕だ。しかしそれでも奴には耐えられなかったのか…抑えていた“黒影”が暴走を初めてしまった。」



巨大化かつ凶暴化してしまった黒影を常闇もなんとか制御しようとするがそれも叶わず動くモノや音に反応し、無差別に襲いかかるモンスターへと化してしまっていた。



「〜〜〜〜!!俺のことは…いい!ぐっ…!!他と合流し、他を救け出せ!!静まれっ…黒…影…!」



黒影の弱点である光…火のあるところか相澤のいる施設へと誘導すれば暴走を抑えることが出来ると障子は緑谷へ言った。



「俺はどんな状況下であろうと苦しむ友を捨ておく人間になりたくない。おまえは爆豪とハルが心配でその体を押して来たのだろう?まだ動けるというなら俺が黒影引きつけ道を拓こう」

「待ってよ。施設も火事も距離がある。そんなの障子くんが危な────…」



二人が話す間も黒影は容赦なく襲いかかってくる。
間一髪避けたが、もともといた場所に生えていた木は幹を黒影の爪によって抉られ真っ二つへと居られ倒れた。
凄まじい攻撃力に緑谷の顔が青く染まる。
だが障子はそんな緑谷に言い聞かせた。



「わかってる。救けるという行為にはリスクが伴う。だからこそヒーローと呼ばれる。このまま俺と共に常闇を救けるか、爆豪とハルのもとへ駆けつけるか…おまえはどちらだ?緑谷」



障子の問いに緑谷の頭には爆豪とハルの姿が浮かぶ。
そして目の前にいる黒影を抑えようと苦しそうな表情を浮かべる常闇を見ると緑谷は重い口を開いた。



「……………ごめん、障子くん…」

「?」





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