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 がなる風雲急(2/4)



場面は森へと戻る。
泡瀬が頭から血を流す八百万を抱えながら叫びながら逃げていた。



「やばいって!やばいって!!やばいってこいつぅ!!!」



二人を追うのは保須市襲撃事件でも姿を表した怪人脳無。
屈強な肉体だけでなく数々の腕にはチェーンソーを初めとする刃物がついており、それを振り回しながらひたすら二人を追い続けていた。



「八百万!!生きてるか!?おい!!頼む走れ!!追いつかれる!!」

「すみません…泡瀬さん…!!大…丈夫です!!」



口ではそう答えるものの八百万の頭からは止めどなく血が流れており、走るどころか意識を保つので精一杯の状況。
泡瀬の個性“溶接”によって自身と八百万をくっつけ、なんとか担ぎながら逃げていたがどんどん脳無との距離が詰まっていく。



「くそっ!!畜生!!!何なんだよ!!何なんだよォーーー!!!」



攻撃の射程内に入ってしまい脳無がチェーンソーを二人目掛けて振り下ろした瞬間だった、当たる寸前のところでピタリと攻撃を止める。
すると急に臨戦態勢を解除したかと思うと、血眼で追っていた泡瀬と八百万を無視して撤退を始めたのだ。



「今度は何だ……何で帰る?」

「(……役目を果たした…ということ…!?じゃあまさか───…ハルさん…爆豪さん…!────判断…!!“最悪”を───…推し量りなさい百!!そこから今出来る“最善”を!!)泡瀬さん……“個性”でこれを!────…奴に!!!」

「何これ?ボタン?」

「いいから早く!!行ってしまう!!」

「(なんかもうよくわかんねえけど!!)」



泡瀬は八百万から渡されたボタンのようなものを個性“溶接”で脳無と結合させる。
発動する際に脳無に触れなければならなかったが、触れてもなお脳無は気に止めることなく撤退を続けた。



「よしつけたぞ。いいな!?怖えダメだもう!」

「ええ…」

「逃げるぞ!」







爆豪と常闇を奪ったMr.コンプレスを追う緑谷たち。
だが、Mr.コンプレスの逃げ足は早くどんどん距離が離されてしまい焦りを隠せずにいた。
緑谷はマスキュラー戦で負った両腕の傷の痛みが酷くなってきており、冷や汗を流しながらも言い聞かせるように呟いた。



「諦めちゃ…ダメだ…!!っ…!追いついて…取り返さなきゃ!ハルの居場所も吐かせて救けなきゃ…!!」

「しかしこのままでは離される一方だぞ」

「麗日さん!!僕らを浮かして、早く!」

「!」

「そして浮いた僕らを蛙水さんの舌で思いっきり投げて!僕を投げられる程の力だ!すごいスピードで飛んでいける!」

「ケロ」

「障子くんは腕で軌道を修正しつつ僕らをけん引して!麗日さんは見えてる範囲でいいから奴との距離を見はからって解除して!」

「成程、人間砲弾か」



緑谷の提案には誰もが賛成だったが、問題はその作戦を法案した張本人の怪我の状態。
一番酷い怪我を負っていて気絶していてもおかしくない状況に思わず轟は残ってろと声をかけるが……



「痛みなんか今知らない。動けるよ…早くっ!!」



何を言っても引かないと悟ると早速作戦通り緑谷、障子、轟の三人を蛙水の舌で巻き付けその状態で麗日が無重力状態にする。



「必ず三人を救けてね」



その蛙水の言葉と共に力のまま投げ出された三人はものすごい勢いで宙へと飛び立っていった。





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