◎ 混乱渦巻き(2/5)
一方、敵名ムーンフィッシュと会敵した爆豪と轟は自らの歯を変化自在に刃に変える個性“歯刃”による攻撃受けていた。
見た目は屈強でもなければそこまで強そうと思わせる訳では無いが地形と“個性”の使い方が上手く相当な場数を積んでいる手練だと悟る。
狙われている爆豪がいる状況で一時引きたいが後ろにはガス溜りがあり戦闘せざるを得ない状況。
轟の氷結でムーンフィッシュの歯刃を防ぎながら二人は最善策を探っていた。
「近づけねえ!!クソ!最大火力でぶっ飛ばすしか…」
「だめだ!」
「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!!」
「爆発はこっちの視界も塞がれる!仕留めきれなかったらどうなる!?手数も距離も向こうに分があんだぞ!」
その時だった、何やら激しい物音と共に「いた!」と障子の声が聞こえる。
三人が目を向けると障子と障子に抱えられた緑谷が走ってきており、背景の木々は激しい音を立てて倒れていた。
障子は爆豪と轟の姿を確認すると大声で叫んだ。
「爆豪!轟!どちらか頼む────…光を!!!」
先程まで苦戦を強いられていたムーンフィッシュは凶暴化した黒影によって一瞬で押さえつけられてしまう。
「ごめん障子くん…!このままで…少しいい?…音だけでも少しいい?複製腕を複製する形で囮をつくって…本体に攻撃が向かないように誘導する!ただ誘導先はかっちゃんだ。爆発で黒影は静められる!どちらか選ばなきゃいけないなら───」
「かっちゃん!」
「僕はどちらも救けたい!」
「障子、緑谷…と常闇!?」
「早く“光”を!!!常闇が暴走した!!!」
複製腕によって爆豪と轟によって声をかけた次の瞬間、黒影は攻撃を仕掛けていく。
それを見た二人は見境なく黒影が襲いかかっていることを察し、早速轟が炎で抑えようとした時に爆豪が待てと制止する。
すると黒影の攻撃をモロに受けて戦闘不能になっていたと思われていたムーンフィッシュが歯刃を使って起き上がりながら言った。
「肉〜〜駄目だぁああ!肉〜〜にくめんんん。駄目だ駄目だ許せない。その子たちの断面を見るのは僕だぁあ!!!横取りするなああああ!!!」
「強請ルナ。三下!!」
歯刃で黒影目掛けて攻撃を仕掛けるが実態の持たない黒影には効かず、ムーンフィッシュを掴むと投げ捨てる。
木々をなぎ倒すほど勢いで投げられたムーンフィッシュはさすがにダメージが大きかったらしく気絶して戦闘不能に。
「
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛暴れ足リンゾォ!ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
狙いをムーンフィッシュから緑谷たちへ変えようと顔を向けた瞬間、爆豪は爆発を、轟は炎を灯し常闇と黒影を左右で挟むように囲った。
弱点である光で照らされた黒影はひゃん!と先程までとは想像もつかない情けない声をあげると常闇の元へと戻って行った。
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