◎ 過去を喰らう(6/6)
「水科ー。進路表今日までだぞ」
「………すみません。忘れてました〜。これですよね」
「……まあ無理もない。これからは気をつけるように────あれ?第一志望は雄英じゃ…」
「……もういいんです」
「もういいって…どうした?」
「俺はヒーローになりません。地元の普通科の高校に行きます」
父さん、母さん。
夢を放り出してごめん。
ヒロ、幸。
約束破ってごめん。
「君に私の力を受け継いで欲しい。君なら私の力を受け継ぐに値する。どうかな?」
「…………」
「ハル少年?」
「……俺はヒーローにはならない」
「!」
「だから…あなたの力を受け継ぐ資格なんて俺にはない…」
オールマイト。
期待に応えられなくてごめんなさい。
「(いらないもの捨てて整理するか…)」
雄英高校入試参考書
雄英高校ヒーロー科のパンフレット
ヒーロー科対策書
好きだったヒーロー達のグッズ
目に映ったヒーローに関連するものを全てゴミ袋へ放り込んでいく。
「!」
その時、父さんがプロヒーロー時代の時に使っていたゴーグルが目に入る。
俺が欲しいとねだって父さんからもらったものでヒーロー科に入学してコスチュームを着る時に一緒に身につけたいと思って取っておいたんだった。
「(だけどこれももういらないか……)」
同じようにゴミ箱に捨てようとしたが手を離すことが出来なかった。
ヒーローを目指すことを諦めたのにおかしいだろ。
こんなの持ってても仕方ないだろう。
そう言い聞かせているのに捨てられない。
「………っ」
結局俺には────
prev|
next