◎ 個性(6/6)
特訓を終え安息の時間を過ごす俺たちがいる合宿場を見下ろす4つの影。
「疼く…疼くぞ……早く行こうぜ…!」
「まだ尚早。それに派手なことはしなくていいって言ってなかった?」
「ああ。急にボスヅラ始めやがってな。今回はあくまで狼煙だ」
義爛と共に死柄木の元へ連れてこられた荼毘とトガ、そしてマスクで顔を隠し学ランを来た少年と仮面をつけローブに身を包む大柄な男の姿。
荼毘が薄ら笑みを浮かべながら言った。
「虚に塗れた英雄たちが地に堕ちる。その輝かしい未来の為のな」
だがそんな荼毘の話なんてどうでも良いと言わんばかりにトガは付けているマスクを触りながら言った。
「ていうかこれ嫌。可愛くないです」
「裏のデザイナー・開発者が設計したんでしょ。見た目はともかく理には適ってるハズだよ」
「そんなこと聞いてないです。可愛くないって話です」
「どうでもいいから早くやらせろ。ワクワクが止まんねえよ」
ローブの男は筋肉質な腕の関節を鳴らしながら言った。
荼毘は呆れながら黙れと制止しながら後ろから新たに聞こえてくる3人の足音を聞き振り向く。
「まだだ…決行は…12人全員揃ってからだ」
サングラスかけサラサラヘアーが特徴的なおかまっぽい男と、全身拘束され口だけは無理やり開けさせられた気味の悪い男にトカゲのような姿をした者。
その3人が先程の4人に合流すると荼毘は続けた。
「威勢だけのチンピラをいくら集めたところでリスクが増えるだけだ。やるなら経験豊富な少数精鋭。まずは思い知らせろ…」
てめェらの平穏は俺たちの掌の上だということを。
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