◎ 個性(2/6)
時刻は日も暮れかけたPM4:00。
野外炊飯場には人数分の食器と大量の食材に調味料。
それを指しながらピクシーボブとラグドールは言った。
「さァ昨日言ったね。“世話焼くのは今日だけ”って!!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!!カレー!!」
「「「イエッサ…」」」
だが昨日と違うのは料理が用意されていないだけではなく…みんなは死にそうな形相を浮かべて消えそうな声で返事をした。
「アハハハハ。全員全身ブッチブチ!!だからって雑なネコマンマは作っちゃダメね!」
「!確かに…災害時など避難先で消耗した人々腹と心を満たすのも救助の一環……さすが雄英無駄がない!!世界一旨いカレーを作ろう。皆!!」
「「「お…おおーー…」」」
「(飯田便利)」
そして分担に別れて作業を行っていく。
野菜などの具材を切るグループではこんな会話が行われていた。
「へーハルくんって包丁使うの上手いんだねー!」
「そーかな?あんま気にしたことなかったかも」
「ハルちゃんは普段料理してるの?」
「たまーにな。たまに」
「偉ェな!俺全然手伝ったりしてねーや」
「いや手伝ったりしてる訳じゃなくて…」
言葉を濁すハルを見て、麗日は言った。
「ハルくんも高校から一人暮らししてるんだよね!」
「……そうそう!だから料理せざるを得なくて」
「……?」
「どうしたの梅雨ちゃん?」
「ケロ。なんでもないわ」
一通り具材を切り終えてると炒める作業へと移っていく。
火をつけなければいけないのだが、この時に頼りになるのはこの面々。
「轟ー!こっちも火ィちょーだい」
「爆豪。爆発で火ィつけれね?」
「つけれるわクソが!」
「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは火の起こし方も学べませんよ」
「そういうヤオモモもライター…」
「いや、いいよ」
轟は自身の左手を使って釜の火をつける。
個性は戦う以外にも使い方によっては人々の生活の役に立つことも出来る。
轟は釜の火を見ながら口元を緩めた。
「!(轟…)」
体育祭で聞いてしまって轟の過去を知っていたハルは乗り越えて左側も抵抗なく使っている轟を見て小さく笑った。
それぞれが力を合わせて出来上がったカレーライス。
店レベルの出来ではなかったが、この状況下も相まってみんな美味しいと言いながら食べる手が止まることはなかった。
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