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 合宿スタート(3/5)



あれからかなりの時間が経ち、空は赤く染っていた。
時刻はPM5:20。



「やーーーっと来たにゃん」



目的地である合宿所の前には相澤先生とマンダレイ、ピクシーボブの三人の姿。
そんな三人の出迎えに笑顔で返せる元気がないほど、俺たち21人はボロボロでクタクタな状態で現れた。



「何が“三時間”ですか…」

「腹減った…死ぬ」



瀬呂と切島は俺たち全員の気持ちを代弁してくれた。
そんな二人にマンダレイは笑顔で言った。



「悪いね。私たちならって意味。アレ」

「実力自慢の為か……」

「ねこねこねこ…でも正直もっとかかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。いいよ君ら……特にそこ5人」

「!」



ピクシーボブは俺、緑谷、飯田、轟、爆豪の5人を指さす。
確か…土魔獣に一番最初に飛び込んで行ったメンツだ。



「躊躇の無さは“経験値”によるものかしらん?三年後が楽しみ!ツバつけとこーー!!!ぺっぺっ!」

「うわっ」

「比喩じゃない…!」

「マンダレイ…あの人あんなでしたっけ」

「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」

「適齢期と言えば───…」

「と言えばて!!」



緑谷の言葉にピクシーボブはあからさまな反応を見せる。
よく分からないけど…大人の女性って大変なんだな。



「ずっと気になってたんですがその子はどなたかのお子さんですか?」

「!」



緑谷の言うその子とは高台のところでもピクシーボブやマンダレイ達と一緒にいた赤い帽子を被った少年のこと。
少年は無表情かつ冷たい目で俺らを見ており、そんな彼を手招きしながらマンダレイは緑谷に答えるように言った。



「ああ違う。この子は私の従甥だよ。洸汰!ホラ挨拶しな。一週間一緒に過ごすんだから…」

「(見たところあんまり歓迎されてないような…)」

「あ、えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしくね」



緑谷が洸汰の元に近寄り手を差し出しながら笑顔で言った。
すると予想とは反して洸汰は思いっきり緑谷の……大事な所を殴りつけて立ち去ってしまった。



「きゅう…」

「緑谷くん!おのれ従甥!!何故緑谷くんの陰嚢を!!」

「……わははっ!!すんげーパンチ!!飯田も陰嚢て…!!あはは!!」

「(前から思ってたけどハルってゲラだよな…ツボちょっと変だけど)」

「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」



洸汰はギロッと俺らを絡みながら吐き捨てた。
そんな洸汰を見ながら爆豪は鼻で笑う。



「マセガキ」

「おまえに似てねえか?」

「あ?似てねえよ。つーかてめェ喋ってんじゃねえぞ。舐めプ野郎」

「悪い」

「茶番はいい。バスから荷物降ろせ。部屋に荷物運んだら食堂にて夕食。その後、入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さァ、早くしろ」



相澤先生からの指示を聞いた後、緑谷にさっき笑っちゃったことを謝りつつ、まだ痛そうにしていたから荷物を運ぶのを手伝った。
男子部屋は全員同じの大部屋でなんだか修学旅行にでも来たような気分でテンションが上がった。

そして無事に全員の荷物を運び終えて食堂に向かうと机の上にはたくさんの美味しそうな料理が所狭しと並んでいて、空腹だった俺たちはそのビジュアルだけでヨダレが止まらない。



「「「「いただきます!!」」」」



やっとありつけたご飯はすごく美味しくて箸を持つ手が止まらない。



「へえ、女子部屋は普通の広さなんだな」

「男子の大部屋も見たい!ねえねえ見に行っていい?後で!」

「おー来い来い」

「魚も肉もやさいもぜいたくだぜえ!!」

「美味しい!!米美味しい!!」

「五臓六腑に染み渡る!!ランチラッシュに匹敵する粒立ち!!いつまででも噛んでいたい!………!土鍋…!?」

「土鍋ですか!?」

「うん。つーか腹減りすぎて妙なテンションになってんね」

「まー色々世話焼くのは今日だけだし食べれるだけ食べな」



本格的な合宿スタートは明日から。
一体どんなことをするんだろう、と思いつつ今はマンダレイ達に甘えてお腹いっぱいご飯を堪能させてもらった。

そういえば………



「あ、洸汰。そのお野菜運んどいて」

「フン………」

「…………」





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