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 合宿スタート(2/5)



あれからしばらく経ち休憩と称してバスは止まった。
爆睡していた俺は轟に起こしてもらい、みんなと一緒に車外へと出ると目の前に見えるのは広大な山々達。
だが休憩場所というにはパーキングもなければB組が乗っているであろうバスも見当たらなかった。

疑問を感じている俺たちを見ながら相澤先生は呟く。



「何の目的もなくでは意味が薄いからな」

「よーーうイレイザー!!」

「ご無沙汰しています」



相澤先生が頭を下げるその先にいたのは…



「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシャーキャッツ!!」」

「今回お世話になるプロヒーロー“プッシャーキャッツ”の皆さんだ」



マンダレイとピクシーボブがお馴染みのポーズをキメながら自己紹介をする。
テレビとかでは見たことあるけど生で見るとなるとまた違った感じだなー!
そんな二人のそばに居る赤いキャップを被った男の子は誰だろ…?



「連盟事務所を構える4名一チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる…」

「心は18!!」

「へぶ!」



流石ヒーローオタクの緑谷。
だけど余計なことをいったのかピクシーボブから顔面パンチをお見舞されてら…痛そう…。

マンダレイは高台から見える山々を眺めながら言った。



「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」



ピッと指さされた先の山はそんな軽々しくいえる距離にはなくてみんなざわめき始める。



「遠っ!!」

「え…?じゃあ何でこんな半端なとこに…………」

「いやいや…」

「バス…戻ろうか……な?早く…」

「今はAM9:20。早ければぁ…12時前後かしらん」



あれ…?
なんだろうこの胸騒ぎ……。



「ダメだ…おい…」

「戻ろう!」

「バスに戻れ!早く!!」

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」



走って戻っていく俺たちを見ながら相澤先生は無情にも告げた。



「悪いね諸君。合宿はもう始まってる」



その瞬間、ピクシーボブの個性により操られた土で出来た土砂に俺たちA組メンバーは飲み込まれて高台から森へと落ちていく。



「私有地につき“個性”の使用は自由だよ!今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!この…“魔獣の森”を抜けて!!」

「“魔獣の森”…!?」

「なんだそのドラクエめいた名称は……」

「雄英こういうの多すぎだろ…」

「文句言ってもしゃあねえよ。行くっきゃねえ」

「とりあえず皆いるか?」



1.2.3………21人みんないるな。
大きな怪我も見られないしすぐにでも動けそうだ。
さっきマンダレイが指さした所に施設があるならかなり距離はあるから早く動かなければ…と思ったその時だった。

目の前に立ちはだかる野生の動物とは言い難い巨大な化け物の姿。



「「マジュウだーーー!!?」」

「静まりなさい獣よ。下がるのです!」

「口田!!」

「!?」



動物を従える口田の“個性”が効いてない!?
てことはこいつ動物じゃ……



「!(土くれ…!!そうか!)」

「!?」



確かピクシーボブの個性は“土流”。
土を自由に操作することができる個性。
てことはこの化け物はピクシーボブの個性によって形成されているもの。

つまりこれは意図的に出された脅威だとするならば───







場面は戻って高台。
ピクシーボブはセンサー使いA組の生徒の動向を追っていく。
相澤は先程の様子を見てマンダレイたちに言った。



「まァ、通常2年前期から“修得予定のモノ!”を前倒しで取らせるつもりで来たのでどうしても無茶は出ます。緊急時における“個性”行使の限定許可証。ヒーロー活動認可資格その“仮免”。敵が活性化し始めた今、1年生にも自衛の術が必要だ」

「!」



レーダーで何かを感知したピクシーボブは嬉しそうに笑みを浮かべる。



「私の土魔獣を見破って速攻仕掛けてきた子が5人いる!」

「なるほど…。引き続き頼みます、ピクシーボブ」

「くぅーーおまかせ!逆だってきたぁ!」

「洸汰行くよ」



マンダレイに洸汰と呼ばれた赤いキャップを被った少年はハル達が落ちていった方を見て、眉間に皺を寄せながら一言呟いた。



「…………下らん」





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