アトラクトライト | ナノ

 夏のはじまり(3/4)



翌日雄英高校1-A教室内。
相澤先生から緑谷と死柄木との接触について説明がなされると林間合宿の内容が書かれた紙を破りながら言った。



「敵の動きを警戒し例年使わせて頂いている合宿先を急遽キャンセル。行き先は当日まで明かさない運びとなった」

「えーー!!」



あまりにも大胆な判断に様々な意見が飛び交う。
確かに現状、話が誰にどう伝わっているのかは学校側も把握することが出来ない。
にしても親によっては行き先もわからぬまま我が子を送り出すなんて心配じゃないかな?
緑谷のお母さんも昨日相当心配してたし…。



「(まあ…俺には関係ないか)」



こうしてあまりに濃密だった前期は幕を閉じた。

そして訪れた夏休み。
林間合宿まで特訓するも良し、休息を取るも良しと個人の采配に任される形になった。
基本的には夏休み中も学校は解放されていて、先生達も来ていたため“個性”を使ったトレーニングが許可されていた。

俺も“温冷水”を強化すべく登校しては毎日のようにプールへと通った。



「あらハルちゃん。今日も来てたのね」

「梅雨ちゃん!今日も暑いな〜」

「やあ二人とも。今日は僕達もお邪魔させてもらっても良いかな?」

「飯田も来てたのか!全然大丈夫だぜ」



個性柄、水に関係がある梅雨ちゃんもプールで自主トレをしており、よく会っていた。
他にも基礎体力アップを目的に様々なクラスメイト達もやってきて、結局座学がないだけで前期とほとんど変わらない毎日を送っていた。

いつものようにプールでのトレーニングを終えて俺、切島、上鳴、瀬呂、爆豪の五人で更衣室で着替えている時、切島が嬉しそうに笑いながら言った。



「なあなあ、今日この近くで夏祭りがあるらしいんだけど行かねーか?」

「お。いいじゃん!」

「腹も減ったし屋台でなんか買って食おうぜ」



切島の提案に上鳴と瀬呂は乗り気な様子。
爆豪はぷいっと顔を背けて話に入ることは無かったが、切島が笑いながら直接声をかけていた。



「爆豪も行かねえ?ちょっとくらい夏らしいことしよーぜ!」

「ほっとけ」

「またまた〜?本当は行きたいんじゃないの〜〜?素直じゃないんだから〜〜」



上鳴の追撃に爆豪は苛立ったのか青筋を浮かべる。
だがなんとか上手くまとまったのか爆豪も少しだけと条件付きだったが夏祭りに行くことになったみたいだ。

一足先に着替え終えて帰る支度をしていると瀬呂が俺の肩に手を回しながら言った。



「ハルも来るだろ?」

「たこ焼き!焼きそば!フライドポテト!」

「(うるせえ…)」

「いやいや。夏祭りといえばやっぱ───りんご飴っしょ!」

「!」





prevnext

back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -