アトラクトライト | ナノ

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「麗日さん行っちゃった…」



一人出遅れてしまった僕は人混みの中ぽつんと立ち尽くしていると見知らぬ男の人から声かけられ、肩に手を回された。



「あー雄英の人だ。スゲー!サインくれよ」

「へ!?」

「確か体育祭でボロボロになってたやつだよな!?」

「わああ…は…はい…」



さっきもそうだったけどすごいな雄英…
やっぱりたくさんの人に見られて覚えられてるんだ…

どう返したら良いかわからず焦っていたけど男の人は構わず続ける。



「んで確か保須事件の時にヒーロー殺しと遭遇したんだっけ?すげえよなあ!」

「よくご存知で……」

「いや本当信じらんないぜ。こんなとこで“また会うとは”!」



ん?待てよ…
この人今なんて───



「───…!?」

「ここまでくると何かあるんじゃって思うよ。運命……因縁めいたもんが…」



違和感に感じて冷や汗が飛び出すと同時に男は僕の首にかける。
目の前に行き交う人々たちの喧騒がやけに遠くに感じる。



「まぁでもおまえにとっては雄英襲撃以来になるか。お茶でもしようか。緑谷出久」



フードから覗く忘れもしない顔。
どうしてお前がここに居るんだ…死柄木弔…!!!









「信念なき殺意に何の意義がある」




見てみろよ、ヒーロー殺し。

大多数の人間は対岸の火事と───
いや、そうとすら思っちゃいないぞ。

どこで誰がどういう思いで人を殺そうが、
こいつらはヘラヘラ笑って生きてるぞ。



「うっわ。コレ良いのかよ…!」

「ヒーロー殺しだ!ぜってー問題になるっしょコレ」

「!」



ヒーロー殺しを彷彿とさせるグッズ。
それを手に取り楽しそうに談笑するガキども。



「超不謹慎じゃん」

「ハハハかっけえ!」

「………」



一方でおまえの思いとはおよそ程遠いところでおまえのシンパが生まれてる。



「ステ様になりたいです!ステ様を殺したい!」

「ヒーロー殺しの意思は俺が全うする」



何なんだ?
やってる事は同じだろう。
俺も、おまえも、結局気に入らないものを壊していただけだろう?

何なんだ。
一体何が………



「!」





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