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場所は変わって雄英高校。
1-Aの教室で顔に影を落とす上鳴、砂糖、芦戸、切島の姿。
この四人は奇しくも演習試験を合格できず、試験での赤点が確定している面々なのだ。

芦戸はそんな皆の言葉を代弁するように涙を浮かべながら言った。



「皆…土産話っひぐ…楽しみに…うう、してるっ…がら!」

「まっまだわかんないよ。どんでん返しがあるかもしれないよ…!」

「緑谷、それ口にしたらなくなるパターンだ…」

「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!!」

「落ち着けよ。長え」



瀬呂の言葉は上鳴達に届いていないのかどよんと負のオーラがそこに立ち込めていた。
そんな様子を見て瀬呂は言った。



「わかんねえのは俺もさ。峰田のおかげでクリアしたけど寝てただけだし」

「…………(ふむふむ)」

「とにかく採点基準が明かされてない以上は…」

「同情するならなんかもう色々くれ!!」



どんな言葉も届かないみたいで四人は落ち込んだりと情緒不安定な様子。
その時、勢いよく扉が開かれて相澤先生が姿を表す。
皆が席に座ったのを確認すると気になっている期末テストに関する話が始まった。



「おはよう。今回の期末テストだが…残念ながら赤点が出た」



その言葉を聞くや否や四人は諦めにも近い絶望的な表情をうかべる。
そんな四人を気にせず相澤先生は続けた。



「したがって…林間合宿は全員行きます

「「「「どんでんがえしだあ!!」」」」



四人めちゃくちゃ嬉しそう…。
そうだよな。林間合宿を特に楽しみにしてたメンバーだったもんな。

そんな四人をみて思わず笑顔が零れる。



「筆記の方はゼロ。実技で切島・上鳴・芦戸・砂糖、あと瀬呂が赤点だ」

「!」

「行っていいんスか俺らあ!!」

「確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな…クリア出来ずの人よりハズいぞコレ…」

「まあまあ…」



相澤先生の話いわく、今回の試験、先生達敵側は生徒達俺らに勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うか見るよう動いていたらしい。
確かにオールマイトと戦った時、本気ではなかった場面がいくつかあったが…確かに常に本気モードだと課題云々の前に詰んでただろうな。



「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」

「追い込む為さ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」

「ゴーリテキキョギィイー!!」



相澤先生の言葉を聞いてわあいと盛り上がるクラスメイトたち。
そんな中で飯田は体力測定でも相澤先生に嘘をつかれたことを思い出し、右手を上げながら立ち上がる。



「しかし!二度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかと!!」

「わあ、水差す飯田くん」

「確かにな。省みるよ。ただ全部嘘ってわけじゃない。赤点は赤点だ。おまえらには別途に補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツイからな」

「「「「「────!!」」」」」

「じゃあ合宿のしおり配るから後ろに回してけ」



とにもかくにも…皆で合宿に行けて良かった。
配られたしおりに目を通しながら楽しみな気持ちが止まらない。



「あと筆記試験の詳しい結果は後日返却するがクラストップだけ速報で伝えとく」

「まあ、ここは安定のヤオモモだ…」

「今回のクラストップは水科だ」

「「「…………」」」



少しの沈黙の後、ばっと俺に視線が集まる。
予期せぬ事態に思わず俺は動揺して席を立ち上がってしまった。



「え、あ、お…俺!?」

「俺も目を疑ったよ。まあ次も頑張れ。他の奴も水科に負けないように精進しろよ」

「うおおおおい!!おまえは俺ら(こっち)側だろ!裏切り者ぉおおお!!!」

「私としたことが………いいえ。落ち込んでおらず次回はハルさんに負けぬよう勉学に励まなければなりませんわ!」

「ハルすごいね!僕も負けてられないな…!」

「………(なんかよくわからんけど……)」



夏休み!!
林間合宿!!

心置き無く楽しみにできるぞー!!





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