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 世界一高い壁(4/4)



「(かっちゃん───!!!)」

「………!」(ギリッ)

「っと行かせんぞ緑谷少ね───わっ!!」



飯田くんが泣いた時に見せてくれたようにハルは個性で操った水の塊をオールマイトの顔の前で破裂させて一瞬視界を奪っていく。
そのスキをついて僕は…オールマイト目掛けて飛び込んでいた。



怖い時、
不安な時こそ、

笑っちまって臨むんだ!!



「どいて下さい。オールマイト」



僕の拳がオールマイトの顔面を捉える。
その衝撃で仰け反ったスキをついて倒れたかっちゃんもハル同様だき抱える。



「(気絶してる………ごめんよ、かっちゃん。僕ってやつは───)」

「ゲホッ…ガハッ(まったく!!あと一歩駆けていればクリア出来てたかもしれんのに!!)」



オールマイトは殴られた顔を拭いながら笑った。



「思いっ切り殴ったね…」



そうだよ。
初めからそうだったろ。
君は“救けてしまう”。

そしてその時、そこに壁など一つもないんだ。

君はそういう人間だった!!



《爆豪・水科・緑谷チーム、条件達成!クリアだよ》







試験終了後、三人をリカバリーガールの元へと運んだ。
治癒によって大きな怪我こそ回復したものの疲労が大きいのか緑谷少年はぐったりとベッドの上で倒れ込み、ハル少年と爆豪少年に至っては意識を失っていた。



「あんた本当加減を知らないね!もう少し強く打ってたら取り返しのつかん事になってたよ!特に水科の腰…コレ、ギリギリだったよ!」

「(私としたことが……)」

「水科と爆豪はしばらく目覚めないだろう。とりあえず三人共校舎内のベットで寝かしておきな」



すると緑谷少年は他の生徒たちの様子が写っているモニターを見ながらここで見ていられないかリカバリーガールへと問う。
体力を消耗していてフラフラの状態だろうに……まったく…強くなるよ君は。

まずは爆豪少年から校舎内へと運ぶことに。



「(そして、それ以上にこの子も…)」



爆豪少年!
何故なら君も壁を前にしてよく笑う。



「(それを言ってしまえば…ハル少年もか)」



しかし、彼は───



「(自己犠牲の心が強すぎる。こんな方法では身を滅ぼすのも時間の問題…)」



そうなってしまった出来事で思い当たることはいくつかある。
だがそれを根本的に解決するにはあまりにも根が深い問題で……私の無力さを痛感する。

君に向かって“護られるべき存在だ”と言った時、顔をしかめていたのを私は気づいていた。
君に思うことがあったのをわかっていたのに耳を傾けてあげることが出来なかった。




「俺、先に行くわ」




手を伸ばすのが遅すぎた。
いつも君の手を私は掴み損ねてしまう。

それに気がついた時には…もう遅いのに。



「…………」



一歩進んだ人。
壁に阻まれた人。

悲喜交々の中、期末実技試験が終了した。





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