◎ 世界一高い壁(2/4)
前に騎馬戦の時に見せたような水圧を活用した超スピードでハルはオールマイト目掛けて飛び込んでいく。
まさか身を呈して突っ込んでくるとは思っていなかったオールマイトは僕を掴んでいた手を離しハルを受け止める。
が、相当なスピードと言うのもあり後ろに下がってしまう。
それによってかっちゃんも解放された。
「まるで人間砲弾だな…だがこのままでは私を倒すどころか足止めすることもできんぞ!」
ハルは水を噴射し続けているもののしっかりとした足場と体制をとったオールマイトに抑え込まれてしまい、そこからは一歩も後ずさることはなかった。
それどころかどんどんハルが押されていく。
その時、ふっとハルは不敵な笑みを見せた。
「……もちろん、これで終わりじゃないぜ」
「(!冷気───まさか!)」
「緑谷!爆豪!」
「「!!」」
「
脱出ゲート向かって走れ!!」
ハルはオールマイトの体をがっちりと抱きしめると自分もろとも温冷水とドライアイスを使いって二人を囲むように凍らせてオールマイトの身動きを奪っていく。
「つめたっ!」
「ヒーロー達が出てくまで俺と大人しくしといてくれな…!」
「…………自損覚悟の捨て身によって確実に私を拘束する。今回はテストだから良いが実際の現場ならば…どうするつもりだ?この先の策がないのなら君は死んでいるかもしれないぞ」
「誰かを救けられるならそれで良い。それで護れるなら本望だよ…!」
「……そうか」
分厚い氷によって包まれた二人。
いくらオールマイトと言えども少しでも氷が溶けて薄くならなければ動けるようにはならないだろうとみんなが思ってた。
だけど、彼はNo.1ヒーロー。
「ふんぬぅっ!!!」
「!!?」
分厚い氷はまるで薄いガラスを引き裂くように軽々と音を立てて砕かれてしまう。
圧倒的なパワーも、耐久力も、速度だって…
圧倒的に!シンプル!シンプルな強さ!
「嘘だろ……」
対峙してわかる。
そうだよ、だってこの人は
世界一高い壁(最強のヒーロー)なのだから。
「本望だと言うならば容赦しない」
氷こそ砕かれたが動けないようにオールマイトを抱きしめているハルのみぞおちに膝蹴りを食らわせる。
それを避けることも受け止めることも出来なかったハルは地面へと叩きつけられる。
そして息をつく間もなく、再びパンチが繰り出されて鈍い音が響き渡る。
腕をつかまれ、引き上げられるハルの姿はボロボロで、いつも笑顔でなんでも余裕でこなしてしまう彼とはほど遠いものだった。
「っそ……!!」
僕はハルを救けるべくオールマイトへと走っていくが簡単に腕を掴まれて動きを封じられてしまう。
「………っ!!」
「………………なんて顔だよ少年…」
ハルと一緒に地面へと投げ飛ばされる。
「ぎゃ!!」
「う゛……っ」
「“最大火力で私を引き離しつつ脱出ゲートをくぐる”。これが君たちの答えだったようだがその“最大火力”も消えた。終わりだ!!!!」
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