◎ 戦って勝つか、逃げて勝つか(6/6)
場面はハルとオールマイトの戦闘へ戻る。
純粋な力比べでは勝てないことを理解していたハルはなるべくオールマイトとの距離を離したまま戦おうと試行錯誤していた。
水鉄砲(ウォーターガン)で牽制しつつあわよくば足に食らわせて動きを封じようと試みるが流石オールマイトと言ったところで上手く決まらない。
牽制はしているものの合間を縫って急に距離を詰められることもあるが、それも想定した上で立ち回っているため上手く個性で水を操り距離を取っていく。
「(重りのおかげでいつもより動きが遅いからまだ反応できる…!だが流石に1対1では決めきれないか)」
「おいおい。逃げてばかりで良いのか?こうしている間にも街への被害は広がっていくぞ」
オールマイトの攻撃の反動により崩れるビルや地面。
確かに実際のリアルな現場では被害も最小限に抑えなければならない。
「それに…離れていても十分攻撃は可能!!」
そういってパンチを繰り出そうとする。
さっきの緑谷達への一撃目を遠巻きで見ていても分かるほどすごい威力で当たらずとも風圧で十分攻撃することが出来る。
あらかじめそれを確認していたハルは増幅させた水を刃のように勢いをつけて飛ばしオールマイトの攻撃にぶつける。
すると同じほどの威力だったため、ぶつかるや否や衝撃が打ち消され鎮圧されていく。
その様子に流石のオールマイトも目を丸くして驚きを隠せずにいた。
「マジか…」
「(……俺の全力でやっと同じって……!!厳しいなあ…)」
「君は常に私の想像を超えていくね」
「ご期待にそぐえて何より…!」
「だが…」
「!」
「そろそろしんどいんじゃないのか?」
急に距離を詰められて肉弾戦へと持ち込まれる。
なんとか個性を使い攻撃をいなしていくが一撃一撃が重く、気を抜いて少しでも食らってしまえば一気に状況は不利になっていくことは明白だった。
「!」
その時、ハルはオールマイトの背後から現れた彼と目が合う。
爆破音を立てて飛んできた彼はオールマイト目掛けて叫ぶ。
「どこぉ見てんだあ!!?」
「爆豪!」
「!背後だったか───…」
「「!?」」
爆豪は目を潤ませてその涙が零れないように歯を食いしばりつつオールマイトに気づかれないようにハルに手をはらいのける仕草をする。
爆豪はオールマイト目くらましを目的に爆破をお見舞する。
そのタイミングで爆豪からのサインを受け取ったハルもオールマイトから個性を使って離れていく。
「(ムカつくんだよ!誰がてめェなんかと!!てめェなんかと!!)」
「!」
「
デク!!!」
爆豪の方を向いたオールマイトの背後から現れたのは緑谷の姿。
その右腕には爆豪のコスチュームのダイナマイトを模した籠手が装着されていた。
「
撃て!!!」
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