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 もうじき夏が終わるから(4/7)



「とにかく!行こう!」



飯田の提案に頷くと俺たちはいざ屋台へ!と行きたかったのだが…



「なっ…!?何あのイケメン!!」

「写真撮ってください!!」

「「…………」」



俺と轟は他クラスの女子生徒に囲まれてしまい一向に前に進めずにいた。
飯田と緑谷待たせてるのも、轟を巻き込んでしまってるのも申し訳なくなる。



「うおっ。すんげー人だかり」

「どしたどした?」

「切島くんに上鳴くん。ということは───」



飯田が振り返ると瀬呂と不貞腐れた爆豪もいて、瀬呂はよっと声をかけた。
上鳴は目の上に手をかざしながら呟く。



「あーA組(うち)のイケメン共のせいね」

「ただでさえ混んでるのにこれじゃ進めねえなあ」

「ちっ……面隠して歩けや…」

「!!バクゴーそれ名案だ!」



切島は何か思いついたような仕草を見せる。
それに緑谷たちが頭に疑問符を浮かべているとちょっと待ってろと走って行ってしまった。
数分後、切島はあるものを持って帰ってきた。



「爆豪の言う通り“コレ”で隠しちまえばいいんだよ!」

「なるほどな!でもまずは二人をあの人混みから救い出さないと……」

「ンなの簡単だろ」

「(なんだか嫌な予感……)」



緑谷の予想通り爆豪はニッと怪しげな笑みを浮かべながら右手を掲げていた。
これからやろうとしている事を察した飯田が慌てて止めようとするが間に合わず爆豪はある程度加減はしつつ地面を“爆破”し、砂埃を巻き上げた。



「なんだ!?」

「前見えない!!」



突然の事に戸惑う人々、その中心にいた俺と轟も例外ではなかったけど、腕にテープが巻き付く。
それに引っ張られるまま体を任せていると物陰まで連れていかれて、緑谷、飯田と爆豪、切島、上鳴、瀬呂の6人がいた。



「あれ?増えた?」

「テメーらのせいで進めなかったんだよ。邪魔クソ野郎」

「(ちょっと無理やりな気はしたけど…)助かったわ。ありがとう」

「だがすごい人だかりだったな。あれじゃ進めねえぞ」



轟がそう言った瞬間、待ってましたと言わんばかりに切島がニッと笑う。



「そんなお前らにこれをやる!」

「これって……お面?」



切島から渡されたのはひょっとこのお面2つ。
確かにこれつけて歩けば取り囲まれることはないだろうけど……



「……………」

「…………ぶっ!!!」



ひょっとこお面をつけて立ち尽くす轟の姿がシュールすぎて思わず俺は吹き出した。



「ちょ…轟止めて……!突っ立たないで…!!」

「んな事言われても…」

「そういう自分も同じ姿してるからな。てかお面つけて二人並んでる方がシュールだぞ」

「……………」



上鳴の言葉を聞いて、俺は徐に轟の隣に立つ。
そして轟に前を向くように言って、俺もまっすぐと同じように前を向いた。

同じような背格好の二人がひょっとこ面をつけて並んでいるのがシュールだったのか上鳴が吹き出す。



「いやシュール!!あはははっ!!」

「確かに轟とハルだと思うと……あはははは!!!」



上鳴につられて他のみんなにも笑いが伝播していった。





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