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 もうじき夏が終わるから(3/7)



あっという間に時は流れて夏祭り当日。
すでに1階にはみんな降りてきていて、夏祭りに対する期待感を募らせていた。



「(夏祭り前のこの雰囲気…なんか懐かしいなあ……)」

「ハル」

「!緑谷」

「浴衣どれ着るか決めた?」

「まだ決めてないんだよな。あんま着る機会ないし、難しいよな」



俺と緑谷が話しているとひょこっと麗日がやって来る。
そして浴衣を決めかねている話をすると麗日が浴衣のサンプルが載った冊子をめくりながら一緒に考えてくれた。



「ハルくんは柄とかあんま入ってないシンプルなんが似合いそうやな〜」

「麗日さん。これとか似合いそうじゃない?」

「確かに!となると帯は────」



冊子を見ながら楽しそうに話す二人を見ながらハルは小さく笑みを浮かべる。



「(やっぱりお似合いだなあ…)」



そんなハルの視線に気づいた緑谷と麗日は疑問符を浮かべながらどうしたのか尋ねる。
本人たちに言えるはずもなくなんでもない、と笑いながらハルは答えた。



「…………」

「梅雨ちゃんぼーっとしてどうしたの?」

「!耳郎ちゃん。なんでもないわ」

「ふーん……」



蛙水はそういうとふっと顔を逸らしてどこかに行ってしまう。
残された耳郎は蛙水が見ていた先に目を向けた。



「(ハル?)」

「じゃあ僕らもそろそろ行こっか」

「うん。麗日、浴衣ありがとうな」

「後で写真撮ろうね」



麗日たちと別れて緑谷と一緒に更衣室まで向かう。
その道すがら飯田と轟と出会って4人で向かうことになった。
意外にもみんな普段通りに接してくれて俺も変な気を張らずにいつも通りにいられた。



「お、おお!!」

「いい…とってもいい!!」

「…………えっと…」



着付けは無事に終わったんだけど、着付けをしてくれたおばさん二人が目をキラキラ輝かせながら俺を見てくる。
何事かと思ったら仕切りの向こうからも同じような言葉が聞こえてきた。
確かそこでは轟が着付けしてもらっていたような………。



「着付けだけじゃなくて……そうだわ!髪型!編み込みとかやっちゃいましょ!」

「え。いや俺そういうの似合わな───」

「編み込まなくてもちょっとかきあげたり…こっちの髪を耳にかけたり……」

「あらぁ!あなた最高よ!!」

「…………」



ノリノリになっているおばさま方に何を言っても無駄だと悟った俺はまるで着せ替え人形のように抗うことなく満足してくれるのを待った。
そして10数分後。



「お待たせー!出来たわよ〜」



完成すると大きな声とともに仕切りに使われていたカーテンが開かれる。
お陰で俺にみんなの視線が集まって…い、いたたまれない……。

とりあえず待ってくれていた緑谷、飯田、轟に声をかけた。



「お、おまたせ……」

「「「…………」」」



三人からの返事はなくて沈黙が訪れる。
待たせすぎて怒ってるよな…と不安になりながらも顔を上げると目を丸くしている三人の姿があった。
怒ってないことに安堵しつつどんな表情なのか疑問符を浮かべていると緑谷が口を開けた。



「ハル!?めちゃくちゃかっこいいよ!!!」

「へ?」

「ハルくん!君モデルみたいだぞ!?鏡ちゃんと見たか!?」

「似合ってんな」



わいわいと俺を取り囲んで褒めてくれる三人に恥ずかしくなりながらもそう言ってくれるのは嬉しくて……。



「…ありがとう」

「「(ホワホワ)」」

「な、なんだよ緑谷と飯田のそのニコちゃんマークみたいなあからさまな笑顔は」

「なんでもないよ」

「ああ。なんでもない」

「?」





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