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 戦って勝つか、逃げて勝つか(5/6)



「戦闘中でもすぐに伝えられるように簡単なハンドサイン決めとこう」



手をはらいのけるような動作は“逃げろ”の意。
そしてピースした後に手をクイッと呼ぶような動作は“戻ってきて”の意。

つまり一旦逃げて立て直した後、二人で戻ってきてほしいとハルは緑谷と爆豪に伝えていたのだ。



「(さっきのガードレール少し濡れてた。急に差し込みが甘くなったと思ったけどもしかしたらハルの個性で───…)」



いつも君は絶妙なタイミングで現れる。
頼もしいその姿を見ていつも僕は来てれてよかったと安心出来る。

だけど…相手はあのオールマイト。
かっちゃんとの戦闘を見てハルでも1対1では厳しい戦況になることは容易に想像出来る。

もしハルがギリギリまで時間を稼ぐことができて、僕らがこのままゴールまで向かえば試験自体は合格出来る。
だけど………



「諦める前に僕を使うくらいしてみろよ!負けていいなんて言わないでよ!」



僕らはそれを望んでいない。

勝つのを諦めないのが君じゃないか────…!



まだ僕らが小学生だった頃。
かっちゃんは昔からやんちゃでその日も上級生とケンカをしていた。




「ヤロー!1年のくせに!上級生にぶつかったら謝れよ!」

「よっちゃんに言いつけたる!よっちゃん超ツエーんだ!」

「……」

「ひっ…明日覚えてろ!!」




一回りも大きい上級生達に臆することなく立ち向かう。




「俺がおまえらにぶつかったんじゃない。おまえらが俺にぶつかったんだろ」

「すげーかっちゃん!!小4二人とケンカして勝っちゃった!」

「わぁー…」

「………いちばんすげえヒーローは最後に必ず勝つんだぜ」




ボロボロになりながらも最後は必ず勝って、
目を潤ませても堪えて絶対に涙は流さない、弱音を見せないその姿を陰ながら見て“かっこいい”って思ったんだ。

僕は───



「(ずっと君を追いかけてきたんだ)」





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