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 戦って勝つか、逃げて勝つか(4/6)



緑谷の脳裏に浮かぶ幼い頃の爆豪の姿。




「やっぱカッケーよ。オールマイト!!」




いつからだろう…
僕らの道が違えたのは。



「じゃあ尚更ここでの戦闘は…せめてハルとの合流までは…」

「放せ。触ん…」

「とりあえず」

「「!!」」



二人の頭上からオールマイトがガードレールを持って迫っていた。
何に使うつもりだと考え、答えを出す間もなく緑谷を地面とガードレールで挟むように突き立てていく。



「逃げたい君にはこれをプレゼントだ!」

「!」



そしてすぐさま体制を立て直すと爆豪のみぞおちに重いパンチをお見舞いする。
その威力はあまりのもので声も発することが出来ず嘔吐しながらかなりの距離を吹っ飛ばされてしまった。



「かっちゃん…!」




「ホラ見ろ!見たか今の!オールマイトってやっぱカッケーよな!」

「4対1!絶対負ける!って思うよな!?でも見ろ!ホラここ!こー避けてパンチ!と見せかけて…ホラ!!勝っちゃった!」

「どんだけピンチでも最後は絶対勝つんだよなあ!!」




一緒にショッピングモールのテレビに映し出されたオールマイトの姿を見た幼い記憶が蘇る。
オールマイトの活躍を見て目を輝かせながら喋るかっちゃんのことを───…



「オェエエエ…カハッ…」

「(どうして今思い出すんだろう…)」

「わかるよ…緑谷少年の急成長だろ?でもさ、レベル1の力とレベル50の力…成長速度が同じハズないだろう?」

「……」



苦しそうに殴られた所を抑えながら立ち上がろうとする爆豪にオールマイトは続ける。



「もったいないんだ君は!わかるか!?わかってるんだろ!?君だってまだいくらでも成長出来るんだ!てもそれは力じゃない…」




「絶対勝つんだよなあ!!」




「(嫌な奴さ…!でも…そうだ。どんな事だろうと君は絶対…勝者であろうとするんだ!)」



僕が憧れた君は────…!!



「黙れよオールマイト…!あのクソの力ぁ借りるくらいなら…負けた方がまだ……マシだ」

「!!」

「………………そっか。後悔はないようにな」

「っそが…!!」



オールマイトが爆豪にとどめを刺そうとした時、ガードレールから抜け出した緑谷が思いっきり爆豪の頬を殴りつける。
その反動で飛ばされ結果的にはオールマイトの攻撃を避けさせることに成功したのだが、そんなことより緑谷は爆豪を見ながら眉をひそめ叫んだ。



「負けた方がマシだなんて───…君が言うなよ!」

「(避けられたか。だが───)後ろがガラ空きだぞ…!」



背中を向ける緑谷目掛けてオールマイトのパンチが繰り出される中、突然現れた水によりオールマイトは飛ばされて距離ができた。



「…おまたせ」

「ハル少年…!」



ハルは緑谷と爆豪に目を向けると何やらハンドサインを送る。
それを見て内容を理解した緑谷は頷くと爆豪を抱えながら近くの路地裏から撤退をはかる。
それをさせないと言わんばかりにオールマイトは二人の後を追おうとするが路地裏の入口を塞ぐ分厚いドライアイス。



「せっかくだから俺とも戦ってくれよ。オールマイト」

「君といえど容赦はしないぞ…!!」





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