◎ 打ち明け話(5/6)
相澤先生とオールマイトに向き合うような形で俺と父さんが並んで座る。
話は全寮制について。
この事はクラスの皆の家庭訪問を行い家族にも説明をし、全員から承諾を得たみたい。
残すは俺のところのみ───
「義晴とも話し合いました。全寮制について異論は無いです。息子を…よろしくお願いします」
そういうと深々と父さんは頭を下げた。
その光景を見て相澤先生とオールマイトが安心しているのが読み取れた。
世間からの風当たりが強い中での新たな試み。
そりゃ先生たちも不安だったよな……。
「ご承諾ありがとうございます。義晴さんのことは我々が責任をもって護り育ててみせます」
そういって相澤先生とオールマイトも頭を下げた。
これで一件落着かと思いきや……父さんから少し躊躇いながらもお願いと称して言葉が紡がれる。
「義晴と無茶はしないと先程約束しました。もし破れば私が雄英だけではなくヒーローへの道も許さない、と」
「!」
「……もちろんです。そうさせない為に我々がいます」
「心強い限りです」
相澤先生の真っ直ぐな言葉に父さんも笑みを浮かべた。
「そこで一つ義晴から提案を頂きました。個性…“譲受”の使用についてです。今まで使わぬよう言い聞かせ、先生方にもなるべく“譲受”について口外せず、他の生徒たちの目に触れぬようにとお願いをしておりました」
オール・フォー・ワンから俺を護るため。
そして“個性”によって俺の命を護るため。
裏で父さんが先生たちお願いしてたりいろいろと動いていてくれていたんだ……知らなかった…。
「しかし本事件で義晴の個性は世間に晒され今までのように隠し続けることは難しいと思います。だからこそ……“譲受”の使用を許そうかと思います」
「な!?」
「「!」」
いきなりオールマイトは立ち上がり思わず俺と相澤先生はビクリと肩を震わせる。
だが父さんはオールマイトが反論してくることを予期していたのか静かにオールマイトを見つめた。
そのオールマイトも複雑そうに眉をひそめながら口を開いた。
「何故その結論に至る…!?オール・フォー・ワンのように水科少年の“譲受”を悪用する輩が現れれば危険にさらされる。テレビ放映されたとは言え、自ら積極的にアピールする必要はないだろう…!!」
「“個性”は訓練すれば伸ばすことが出来る。それが“譲受”にも当てはまり活動上限を上げることが出来れば……一度の“譲受”によって命を落とすリスクを下げられる」
「だがそこにつけ入り一度ならず二度三度と“譲受”を受ければ関係ない。回復系の個性持ちはただでさえ多くない中、それは違う面でのリスクを高めているとも言えるんじゃないか」
「…………」
父さんとオールマイトとの話し合いが続く中、相澤先生と目が合う。
「……水科」
「!」
「お前からは俺たちに何も伝えなくて良いのか」
「…………!」
prev|
next