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 友達だから(5/5)



「オールマイトのことはハルは関係ない。悪くない!全部オール・フォー・ワンのせいだ!!それにハルの気持ち…救けたいと思って勝手に体が動いちゃうの…わかるよ。僕もそうだったから」

「…………違うんだ」



普段なら絶対に言わないのに、緑谷の中で美化されている自分が許せなくて思わず否定の言葉が飛び出る。
緑谷もそんな俺の言葉を予期してなかったらしく目を大きく見開いた。



「俺は…皆に死んで欲しくないんだ」



こういうと他人を思いやる立派な志しを持っていると思うだろ?
でも真意は違うんだ。



「あんな思いもうしたくないから、俺が耐えきれないから…」

「!」




「……愛してるわ、ハル」

「きっと…素敵なヒーローになれるから……これが…最期の約束」




「自分が死んだって護りたかった」



そう言葉を紡ぐとパンっと鋭い音が響く。
次の瞬間、左頬が熱を帯びて痛む。
突然のことに呆気に取られていると固く拳を握りながら震える声で緑谷は言った。



「そんな事言わないでよ!!…どうして……君はいつも……っ」

「みど……?」

「君がもし死んでしまったら…僕らは護れなかったって悲しくて悔しくて一生後悔する…!そんな気持ちは無視かよ!!」

「!!」



全部失っていたつもりでいた。
だけど気づいたらまたたくさんの人との繋がりが出来ていた。
いや…出来ていたんじゃない。
俺がまた作っていたんだ。

教室に入れば笑顔で迎えてくれる仲間たち。
怒ると怖いけどいざと言う時には頼りになる先生たち。
距離感を保ちながらも優しく見守り時には親身になって寄り添ってくれるヒーローたち。



「…ごめん。別に君を傷つけたいわけじゃないんだ。…出会って間もないからまだ信頼に欠けるかもしれない……だけど君だって弱くったって良いんだ…!感情を出したって良いんだ…!!だって───」





僕らは友達だろ。





「(友達……)」



たくさんの人に再び出会って、その絆が解けないように必死に結んでいたのは……俺だったのかもしれない。

緑谷のシンプルながらも真っ直ぐで強烈なその一言が俺の心に染み込んで行くのがわかった。



「………」

「へあ!?」



黙ったまま緑谷を見つめ直すとぺちっと軽く頬を叩いてやった。
突然の事で驚いてる緑谷をよそに俺は言った。



「言わせておけば…緑谷こそいっつも無茶ばっかして!しかも今回は殺される可能性だってあったのわかってんのか」

「それは……」



口ごもる緑谷を見てたくさん怒られたんだろうなと察する。



「……だから!俺から言わせてもらう!」



声をあげる俺に緑谷は肩をびくりとさせて、そんな姿に思わず笑みがこぼれた。




「救けてくれてありがとう。無事でいてくれてありがとう。緑谷」




危機的状況を打破し、手を伸ばしてくれた頼もしいその姿は……あのオールマイトをも超える安堵感と希望を感じた。
俺はそんな緑谷たちに救われたんだよ。



「……うっ…ううっ」

「……あれ?なんで緑谷が泣いて───」

「だって……っこんなのズルいよ……!」

「……もー…その泣き虫早く治さないとな〜」

「それ…オールマイトにも言われた…」

「あははっ!まさかのシンクロ!」




世間から見れば正しくない行いだと非難されても俺だけは絶対に味方だから。



「本当に……」

「!」

「本当にありがとうな…………っ」




だって俺らは……




友達、だから。





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