アトラクトライト | ナノ

 戦って勝つか、逃げて勝つか(2/6)



スタート地点にたどり着くと開始の合図を待つ。

コミュニケーション能力。
強さや実力が目立つが、この社会…ヒーローとして地味に重要な能力。

特定の相棒と抜群のチームプレイを発揮出来るより誰とでも一定水準をこなせる方が良しとされる。



「(相澤先生がチームを選ぶ項目の中で“親密度”と言ってたな)」



この前提がある中で、恐らく緑谷と爆豪のペアは……最悪だ。

だけどあえて二人を同じチームに組ませているということは恐らく相澤先生達も二人の関係性を懸念している。
その上で私情を挟まず、どれだけ協力し合い脅威へと立ち向かっていけるかがこのチームにおいて1番の課題。



「(何にせよ俺は隠密しつつ早く二人と合流しなくちゃな。それまで何事もないと良いんだけど───)」







《皆位置についたね。それじゃあ今から雄英1年期末テストを始めるよ!レディイイ───…ゴォ!!!》



リカバリーガールの放送とともに期末テストの演習試験が始まる。

緑谷と爆豪のコンビはハルの心配は的中、すでに意見のぶつかり合いが起こってしまっていた。



「ついてくんな!ブッ倒した方が良いに決まってんだろが!!」

「せっ戦闘は何があっても避けるべきだって!!それにまずはハルとの合流が第一優先だよ!!」

「終盤まで翻弄して疲弊したとこ俺がブッ潰す!ハル(あいつ)は俺に合わせられる。合流するために時間割く方がもったいねぇ!!」

「うぅ……(さっきはハルがいたから緩和されてたけどやっぱりどうしてもかっちゃんには苦手意識が…)」



高圧的な態度がいじめっ子だった昔の爆豪の姿と重なる。
だがそんなことはいってられないと先々進んでいく爆豪の後を置いながら緑谷は声をかけた。



「オールマイトを……な…何だと思ってんのさ。いくらハンデがあってもかっちゃんがオールマイトに勝つなんて…」



その言葉を聞くや否や爆豪の額に青筋が浮かぶ。
そして振り返りざまに右手でパンチを繰り出すとそれに当たった緑谷はいきなりのことで防御できず思わず倒れ込んでしまう。
だがそれを見て心配する様子もなく睨みつけながら爆豪は続けた。



「これ以上喋んな。ちょっと調子良いからって喋んな。ムカつくから」

「ごっ…試験合格する為に僕は言ってるんだよ。聞いてって、かっちゃん…!」

だァから、てめェの力なんざ合格に必要ねェっつってんだ!!

怒鳴らないでよ!!それでいつも会話にならないんだよ!!



その時目の前からものすごい風圧が二人を襲う。
その威力は周りのビルすら粉々に砕いてしまうほどで思わず緑谷と爆豪は目を見開く。
砂埃が晴れていき見えたのはひとつの影。



「さて、脅威(わたし)が行くぞ!」



敵になりきったNo.1ヒーローの姿。





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