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 平和の象徴(5/5)



「君が嫌がることをずぅっと考えてた。君と弔が会う機会をつくった。君は弔を下したね。何も知らず勝ち誇った笑顔で」

「ウソを……」

「事実さ。わかってるだろ?僕のやりそうな事だ。あれ…おかしいなオールマイト。笑顔はどうした?」



どんな時にも絶やさなかったオールマイトから笑顔が消えていた。
それを茶化すようにオール・フォー・ワンは両手で頬を持ち上げるような仕草をする。




「人を救ける。つまりその人は恐い思いをしたってことだ。命だけじゃなく心も助けてこそ真のヒーローだと…私は思う」




お師匠様の言葉が、笑顔が、脳裏をよぎる。




「どんだけ恐くても“自分は大丈夫だ”っつって笑うんだ。世の中笑ってる奴が一番強いからな」




「き…さま…!」

「……!」

「やはり…楽しいな!一欠片でも奪えただろうか」




お師匠様のご家族───…彼が!!




「〜〜〜〜ぉおおおお───…!!」




私はなんということを────…





「負けないで…」





嗚咽混じりに聞こえてきた女性の声。



「オールマイト…お願い……救けて」

「…………」

「……っ」



パシャっと立ち尽くすオールマイトの顔に水が飛んでくる。
その水の飛んできた方にはもうボロボロなハルの姿。
銃を形どった震える手をオールマイトに向けながら掠れる声で、




「…なんつー…かお…してんだ………勝てよ……オールマイト…!」




笑いながらそう言い放った。





「貴方が笑えない時は俺が代わりに大丈夫だーって、余裕だぞーって笑うから。貴方が今まで救けてきたたくさんの人々だって貴方のことを支えたっていいだろう?」

「貴方は独りではない」





目の前の少年の笑顔と記憶の中の君の笑顔が重なる。



「……もちろんさ」

「!」



オールマイトの右腕がマッスルフォーム時の様に増長していく。



「ああ…!多いよ…!ヒーローは守るものが多いんだよ。オール・フォー・ワン!!」

「!」




「だから負けないんだよ」




そこにはいつものように笑顔を浮かべる

平和の象徴───No.1ヒーローの姿があった。





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