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 備えろ期末テスト(3/4)



教室に戻りその事をみんなに伝えると中でも上鳴と芦戸は喜びを隠せずにいた。



「んだよロボならラクチンだぜ!!」

「やったあ!」

「おまえらは対人だと“個性”の調整大変そうだからな……」

「ああ!ロボならぶっぱで楽勝だ!!」

「あとは勉強教えてもらって」

「これで林間合宿バッチリだ!!」



オールマイトの話を聞いて、いつか緑谷を中心に巨悪と戦うことになるかもしれない。
それに備えるという意味でもこれからの全てを糧にしていかなくちゃな。

そう考えていると喜ぶ二人に向けて爆豪は言った。



「人でもロボでもぶっとばすのは同じだろ。何がラクチンだぜアホが」

「アホとは何だ。アホとは!!」

「うるせえな。調整なんか勝手に出来るもんだろ。アホだろ!なあ!?デク!」

「!」

「“個性”の使い方ちょっとわかってきたか知らねえけどよ。てめェはつくづく俺の神経逆なでするな」



職場体験後の演習で見せた緑谷は確かに爆豪のような動きになっていた。
緑谷の急激に成長と自分を模した動きに腹を立てているみたいだ。
口論になった際、いつでも止められるように俺は席を立ち、ちょっとずつ近づきながらもまずは2人の動向を伺う。



「体育祭みてえなハンパな結果はいらねえ……!次の期末なら個人成績で否が応にも優劣つく…!完膚なきまでに差ァつけて、てめェぶち殺してやる!」

「(言いたいことは分かるんだけど口が悪いんだよなぁ…)」



すると緑谷に向けていた視線を轟と俺に向けながら爆豪は続ける。



「ハル!轟ィ!てめェらもなァ!!」

「!」

「(あらら…ケンカ売られちゃった…)」



爆豪はそれだけ言い終えると荒々しく扉を開けて出ていった。

さっきの爆豪は入学して一番最初に受けた演習の時のあいつそのもので…ただ、あの時に緑谷に向けられていた憎悪のようなものとは違って今回は焦燥から来るものかなと感じた。

“無個性”だった緑谷の“個性”発現だけではなく、職場体験を得て急激な成長を見せて、思うことがあるあいつの姿を見て───…



「(………正直…焦る気持ちわかるなー…)」







あれからあっという間に一週間が経ち、期末テストがスタートする。
まずは普通科目の筆記からでみんなそれぞれしっかり準備してきたらしく終わってから安堵の表情を見せている奴がほとんどだった。

そして演習試験当日。



「それじゃあ演習試験を始めてく」



コスチュームに着替え、相澤先生に校舎外へと連れられていく。
するとそこには相澤先生以外の先生の姿もあって、ロボを使った演習のわりに人を割いているなという印象を持った。



「この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねえヘマはするなよ。諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかっているとは思うが…」

「入試みてぇなロボ無双だろ!!」

「花火!カレー!肝試ーーー!!」

「残念!!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」



上鳴と芦戸の言葉を聞いて相澤先生が首に巻きつけている捕縛布から校長先生が顔を出す。
突然の変更にみんな動揺を隠しきれない。



「変更って…」

「それはね…」







時間は少し巻き戻り、会議室で行われた職員会議でのこと。


「敵活性化のおそれ…か」

「もちろんそれを未然に防ぐことが最善ですが学校としては万全を期したい。これからの社会、現状以上に対敵戦闘が激化すると考えれば……ロボとの戦闘訓練は実用的ではない」

「そもそもロボは”入試試験という場で人に危害を加えるのか”等のクレームを回避する為の策」

「無視しときゃいいんだ。そんなもん。言いたいだけなんだから。だから不合理なんだよ」



教師陣の意見を聞き校長は立ち上がる。



「これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ!」





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