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 がなる風雲急(3/4)



すると緑谷の作戦通り、遠く離されていたMr.コンプレスの背中が見えたかと思うとすぐに追いつき、そのまま彼の背中を捕まえる。
それを確認した麗日が個性を解除するとMr.コンプレスを三人が地面へ抑え込むように着地した。

するとその着地点には一足先に集合場所に着いていた野狐、トゥワイス、トガ、そして気絶したハルを抱える荼毘の姿があった。



「知ってるぜ。このガキ共!!誰だ!?」

「Mr.避けろ」

「!了解」



荼毘は三人目掛けて炎を食らわせる。
轟はなんとか回避したものの、緑谷と障子は避けきれず片腕を負傷してしまう。
だが息を付く間もなく轟にはトゥワイス、緑谷にはトガ、障子には野狐が攻撃を仕掛ける。
その間、Mr.コンプレスは立ち上がり服に着いた汚れを払いながら荼毘の元へ近づく。



「いってて…まさかとんで追ってくるとは!発想がトんでる」

「爆豪は?」

「もちろん…………!?」



Mr.コンプレスは爆豪と常闇を閉じ込めた球体をしまっていたポケットをまさぐるが何故かなかなか取り出そうとしない。
その時、障子が緑谷と轟目掛けて叫んだ。



「後はハルだけだ!!」

「!」

「今の行為でハッキリした…!“個性”はわからんがさっきおまえが散々見せびらかした────…右ポケットに入ってたこれが常闇・爆豪だな。エンターテイナー」



障子は二つの小さな球体を掴んだ左手を見せながら言った。
その様子にMr.コンプレスは焦りひとつ見せずに余裕な様子で障子へと賞賛を送る。
二人を取り戻した緑谷たちの目的は荼毘に担がれたハル一択になった。



「!あの赤い帽子被ってるのがハルだ!!」

「…………」



緑谷の言葉を聞くや否や、野狐は無言で担がれているハルへ近づくと徐に被っていた赤い帽子を取った。
なぜそのような行動に出たのか、誰かが訪ねる間もなく緑谷がハルを担ぐ荼毘へ飛び込んで行く。
だがそれは軽々と野狐によって止められてしまった。



「くっ…離せ!!」

「…これさ。やっぱハルには似合わんから返す」

「は…?」



緑谷は野狐に帽子を被されるとそのまま蹴りを入れられ後ろへ吹き飛ばされていく。
そんな緑谷を間一髪轟が受け止めることに成功したため大事に至ることはなかったがまた距離を離されてしまう。

帽子を取ったことによってハルの顔が視認できるようになるが、今まで見たことないような血の気のない真っ青な顔色に緑谷は嫌な予感がしていた。



「(まさか…“譲受”を…!?使いすぎたらハルのお母さんみたいになるんじゃ……!!)」



なんとしても早く取り返さなければと再び臨戦態勢に入ろうとしたその瞬間、目の前に現れる黒い影。
USJの時に現れた黒霧のワープが目の前を阻むように現れたのだ。



「合図から5分経ちました。行きますよ荼毘」

「ごめんね。またね出久くん」



トガ、トゥワイスと次々にワープで撤退する中、荼毘は爆豪を取り返そうと障子の元へ行こうとする。
だがそれをMr.コンプレスが引き止めるとつけていた仮面を外しながら言った。



「ああ…アレは走り出す程嬉しかったみたいなんでプレゼントしよう。悪い癖だよ。マジックの基本でね。モノを見せびらかす時ってのは…………見せたくないモノがある時だぜ?」



Mr.コンプレスは口に隠し持っていた爆豪と常闇を閉じ込めた球体二つを舌に乗せ、見せびらかしながらニッと笑う。
その瞬間、障子が持っていた球体が解除され、中から氷の塊が二つ現れた。





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