◎ それぞれの家庭教師(1/5)
「なぁ!?オレ以外にも指輪配られたの〜〜〜!!?」
「そうだぞ。ボンゴレの歴史だからな」
ボンゴレリングは初代ボンゴレファミリーの中核だった8人がボンゴレファミリーである証として後世に残したもの。
その後のファミリーは代々7人の中心メンバーが7つのリングを受け継ぐ掟だとリボーンは説明する。
その話を聞いていて葵は少し眉をひそめると顎に手を当てて考えるような素振りを見せた。
「それで後継者の証とかってー!?」
「10代目!!」
「!?」
振り返るとそこには喜びで感極まったのか涙を浮かべながら拳を握りしめる獄寺の姿。
「ありがたき幸せっス!!身のひきしまる思いっス!!」
「(めっさ喜んでるよ!!)」
「獄寺のリングは“嵐のリング”、山本のは“雨のリング”だな」
確かに二人の持つリングを見比べてみると若干デザインが異なっていた。
その時、獄寺が葵に向かって声をかけた。
「おい。お前は何のリングなんだ?」
「オレは………もらってない」
「!(意外だな…)」
「(なんで落ち込んでるのー!?)」
「そういえは嵐とか雨とか…天気予報みたいだな?」
「初代ボンゴレメンバーは個性豊かなメンバーでな。その特徴がリングにも刻まれているんだ」
初代ボスはすべてに染まりつつ、すべてを飲み込み包容する大空のようだったと言われている。
ゆえにリングは“大空のリング”。
「そして守護者となる部下達は大空を染めあげる天候になぞらえたんだ」
すべてを洗い流す恵みの村雨 “雨のリング”
荒々しく吹きあれる疾風 “嵐のリング”
なにものにもとらわれず我が道を行く “雲のリング”
明るく大空を照らす日輪 “晴れのリング”
実態のつかめぬ幻影 “霧のリング”
激しい一撃を秘めた雷電 “雷のリング”
一通りリングの説明を聞き終わると葵がリボーンに聞きたいことがあると声をかける。
「どうした?」
「今の説明ではボンゴレリングは7つ。だけどさっきの話では初代ファミリーの中核メンバーは8人でその人達が後世に残したものって話してたけど……ならリングはもう1つあるのかと思って」
「ビンゴだぞ。初代の代にいた8人目…すなわち幻の8個目のリング」
ファミリーの前に立ちはばかる暗闇を照らす希望の光 “夜空のリング”
「夜空のリング…」
「だが初代以降の代では適性を持った者がおらず空席になっていた。それに今では夜空のリングの消息は行方不明で実現してるかどうかも確かじゃねーんだ」
「適性?」
するとリボーンに変わり千李が一歩前に出ると説明を始める。
明らかに葵の方を見ながら、彼女に向かって説明する光景を見てツナ達は疑問符を浮かべた。
「オレらも適性ってのがなんなのかわからない。ただ…初代夜空のリング保持者はノットゥルノファミリーの初代ボスだったって話だ」
「!」
「本来だったらノットゥルノファミリーのボスになるはずだった葵に夜空のリングを保持する適性があるんじゃないかとあの人も踏んでる。肝心のリングは行方不明だが……葵もツナ達同様リング保持者候補として意識しといてほしい」
「……(つまりオレの力と何か関係あるかもしれないってことか……だとするとオレは夜空のリングからは───)」
「ちょっ!ストーップ!!!」
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