◎ ヴァリアーの足音(2/6)
「死ぬ気丸?」
1日の修行を終え、バジルとリボーンと共に家に帰っていたツナはバジルが手に持つ錠剤を見つめながら聞き返した。
「ええ。死ぬ気になる錠剤アイテムです。親方様が拙者専用に作ってくれたんですよ。死ぬ気弾より死ぬ気度は少し落ちるんですけどね」
「!また親方様か…バジル君の話には必ず出てくるよね…」
「もうすぐツナも会えるからな」
「う…うん…」
ツナにとってはバジルを囮に恐ろしいボンゴレ持ってきた人でしかなくて、親方様を慕っているバジルには申し訳なさを感じつつ最初から良い印象は持っていなかった。
現にこの話をしている最中も絵に描いたようなイヤなオヤジの顔を思い浮かべていた。
そんなツナを見てバジルとリボーンは小さく笑っていた。
「あれ?」
「!ツナ達も今帰り?今日もおつかれ」
沢田家の前で帰るタイミングがばっちり被った葵は3人に向かってニコッと笑いかけた。
そんな笑顔にツナは癒されつつも葵に対して労いの言葉をかけた。
「葵。今日で修行の第二段階が完了したんですよ」
「死ぬ気をコントロールする修行だっけ?ツナすごいよ!」
「そ、そんなことないよ」
「その意気だぞツナ。まだまだ修行は続くからこんなもんで満足されたらどうしようかと思ってたが杞憂だったみてーだな」
「ゲッ」
和やかな雰囲気に包まれた一向はただいまと声をかけながら玄関を開ける。
するとおかえり〜!!と元気な声が聞こえてきたかと思うと満面の笑みを浮かべ外出の準備をする家光の姿があった。
「ゲッ…と…父さん!めずらしく起きてたんだ…どっか出かけんの?」
「ああ。招いていない客が思ったより早く来ちまったらしい」
何気ないツナの問いかけに気持ち低めの声色で家光は答える。
するとそれを聞いたリボーンとバジルは何かに気づいたような表情を浮かべるが、ツナと葵にはその真意がわからず首を傾げた。
だがそんな二人に構うことなくリボーンは声をかけた。
「本当か。家光」
「本国にいるオレの影からの情報だ。まちがいない」
「にしても早すぎるぞ」
「(本国?早すぎるって……まさか!!)」
二人の会話から何かを察したのか葵は信じられないと言った表情を浮かべる。
そんな様子を見てツナの頭上にはますます疑問符が並ぶ。
「ニセのリングがこうも早く見破られるとは想定外だった。考えられるとすればザンザスの超直感……」
「!ちょっと待ってください”ザンザス”って……」
「??な…何の話…?」
「ヴァリアーが日本に上陸したらしい」
「なっ!例のおっかない連中が〜〜〜!??」
想定より早い敵のお出ましにツナは驚きを隠せない。
だが家光の口から知るはずのない「ヴァリアー」という言葉が出てきたことによりツナの頭はさらに混乱していた。
だが家光は変わらず冷静に続けた。
「オレは守護者全員の安全の確認を兼ね状況を伝えにいく。手伝えバジル」
「はいっ」
「!?」
「お供します。親方様!」
「「!!」」
今度はバジルの口から衝撃の言葉が飛び出す。
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