明日晴れるかな(指輪編) | ナノ

 見えてなかったもの(3/5)



ドゴォン!!!



「「!!」」



激しい爆発音を聞き、千李は葵にストップをかける。
先程から繰り返し挑んでいるものの千李に傷一つつけるどころか服に汚れ一つつけられていない状況。
葵は肩で息をしながらも爆発音がした方向へと視線を向けた。



「もしかして…獄寺?」

「爆弾といえばアイツくらいしかいないもんな。にしても…」



断続的に続く激しい爆発音。
明らかに大丈夫とは言い難い状況に千李は目を細めながら呟く。



「無茶苦茶なトレーニングしてんなあ…」

「今回も一人ずつ家庭教師がつくって言ってたけど獄寺の家庭教師って誰なの?」

「シャマル」

「!また相性悪そうな…」



顔を合わせるとほとんど獄寺の一方的にではあるが口論に発展している二人に葵も不安そうな表情を浮かべる。
そんな葵を見て千李は今日はここまでと終わりを告げた。



「!待ってよ!まだ兄さんに…!」

「何度やっても今のお前じゃ無理だ。どうしたら良いかと一旦考えてこい。これ宿題な」



千李はニッと笑うと手をひらひらと降って立ち去ってしまった。
突然のことで葵は呆然と立ち尽くしてると断続的に聞こえてくる爆発音。



「(獄寺……無理してるんじゃ……)」







「ぐわっ!」



葵の不安は的中し、獄寺は家庭教師がいないまま一人で無茶苦茶な修行を続けていた。
爆風によって吹き飛ばされ木に打ち付けられ、痛む身体を必死に起こしながら拳を握りしめる。



「全然ダメだ…くっそーーっ…誰の力も借りねーでぜってー強くなってやる!!」



そしてまた立ち上がり修行へと戻っていく。
だがそれまででかなりダメージを受けていた獄寺はうっかり手を滑らせて点火したダイナマイト地面に落としてしまう。
咄嗟になんとか直撃を免れたもののあまりの威力に獄寺は倒れ込んだまま少しの間動けずにいた。



「ちくしょーどーしてもできねー…」



獄寺の頭に脳裏に浮かぶのは昔、シャマルが別々の方向に使って飛ぶ紙飛行機目掛けてダイナマイトを一度に投げて命中させていた技。
その習得をめざして修行を行っているのだが、習得どころかヒントすら掴むことが出来ず焦燥を感じていた。



「やってやるさ……シャマルに見えてるものをオレも見つけてやるんだ……!!」



たとえこの身が果てても。





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