◎ 再会とリングと(5/6)
場所は変わって沢田家2階のツナの部屋。
ツナはそこで寛ぐリボーンに向かってリングを首にかけたか!?と確信にも近い心持ちで問いかける。
だがリボーンから帰ってきた返答は予想と反していた。
「オレじゃねーぞ」
「ウソつけ!おまえ以外にいないだろ!?」
「あいつから何も聞いてねーのか?」
リボーンの言う“あいつ”が誰のことかわからずツナは首を傾げる。
「と……とにかく。オレ、カンケーないから!まきこまないでくれよ!」
「何言ってんだ?カンケー大アリだぞ」
「え?」
「ボンゴレリングは時期ボンゴレのボスの証だからな」
「な!?なんだって〜〜!!?てことはこれ持ってるとマフィアってこと!?」
「まーな」
それこそ冗談じゃないと頭を抱えながら涙をうかべる。
するとリボーンも珍しくツナに同意するように呟く。
「オレだっておまえにそのリングはまだ早いと思うが、そーも言ってらんない緊急事態になっちまったんだ」
「緊急事態…?」
「ツナ〜。朝ごはん出来たって」
その時、葵がひょこっとツナの部屋を覗きながら現れる。
どこか神妙な雰囲気にどうしたの?と声をかけるとリボーンはちょうど良かったと言わんばかりに葵にも話を聞くように言う。
「強大な力が手に入るボンゴレ政党後継者の証であるそのリングをとんでもねー連中が狙いだしたからな」
「あっ。それってもしかしてきのうの…」
「ああ。昨日戦ったロン毛だぞ」
「!」
男の名前はS(スペルピ)・スクアーロ。
ボンゴレで最強とうたわれる独立暗殺部隊ヴァリアーのメンバーであることを葵は簡単に説明する。
「ボンゴレ最強って…」
「ヴァリアーは忠誠心が高くあらゆるミッションをこなしてきたが、あくまで闇の部隊だからな。表舞台に出てくることはなかったんだ。だが、ある日をさかいに暴走し始めたんだ。あの男が出現した時から…」
「!!っていうかちょっと待てよ!ロン毛が奪っていったリングがもしニセモノだってバレたらどーなっちゃうの!?」
「そりゃ本物を奪い返しにくるだろーな」
「ってことは………これ持ってたら殺されんじゃん!!」
ツナは顔を真っ青に染め泣きながら頭を抱える。
「どーすんだよ!みんなで束になってかかってもダメだった相手だぞ!次は絶対殺される〜〜〜っ」
「心配すんな。あのニセモノ、相当良く出来てて10日はバレねぇ」
「!もしかしてその10日間で鍛えてヴァリアーを迎え撃つのか?」
「さすが葵だな。勘がいいぞ」
「鍛える〜〜〜!?ムチャ言うなよ!!」
「まあ、遅かれ早かれボスになるには避けて通れねぇ試練だしな」
「なぁ!?」
「時期ボスの証であるそのリングを守り、ボンゴレ10代目になるのはお前だぞ」
リボーンはツナをまっすぐ見つめると言い放った。
その様子を見て葵はなにやらただ事ではない雰囲気を察するが確信がなかったため何も話すことが出来ず黙ったままでいた。
だがツナはそんなの知らないと一蹴するとディーノへ返してくると言って制服に着替えると家から足早に出ていった。
「おっ。ツナ、葵君」
「!」
「何でも父さんに打ち明けてみろ」
「いっいいって!(父さんにマフィアの話をしてもしょーがないから!!)」
「…………」
家光をじっと見つめているとそれに気づいたのか葵の方へ視線を向ける。
初めてちゃんと目が合って、なんでも見透かされているような不思議な感覚に襲われた葵はいってきますと声かけると目を逸らしツナの後を追って走っていった。
そんな二人の後ろ姿を見つめながら家光は言った。
「見ろ友よ。あれがオレのせがれだぜ…大きくなっちゃってな」
「知ってるぞ。オレが一年半面倒見てきたんだからな」
家光が言う“友”とはリボーンのことで、塀に座るリボーンにありがとうと感謝の意を述べた。
「ツナにはお前のことバラさないのか?」
「いつでも言う準備は出来てんだがうまくいかなくてな〜。ま、なるようになるだろ!結局自分で配るもん配っちゃったし……あ、でも葵“ちゃん”には小出しで情報出しておいた。多分あの様子だと察してそうだが…」
「葵は用心深いからな。確信がないまま他の奴には言わないだろ。ましてやツナの親父となればなおさらな」
「…いい子じゃないの。ツナとも良い雰囲気だったぜ。若いね〜〜!!」
「だが葵は競争率高いぞ」
「お、人気者なのか。確かに若い頃の奈々に負けず劣らず素敵な子だったしな。って奈々〜〜〜♪メシーーー!!」
「…………」
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