◎ 再会とリングと(3/6)
「ったく〜〜あぶないあぶない。いくらディーノさんの言うことでも冗談じゃないよ!そんな危険な指輪〜〜。だいたいマフィアがらみの話はたくさんだっていうの!!」
「あ、あはは…」
中山外科医院を出て家路につきながら愚痴をこぼすツナ。
それを聞いて葵は苦笑いをうかべた。
「そういえば千李さんはどーして日本に?」
「なんかオレに話すことがあるとかどうとか」
「そうだったんだ!無理やり連れてきちゃってごめん…」
「大丈夫大丈夫!また時間あるだろうし」
そうこう話していると沢田家へと到着する。
だが入ってすぐ庭にある洗濯済みの見慣れない作業着が大量に干されている様子が目に入る。
その作業着の胸元には“沢田”と名前の書かれた布が縫い付けてあった。
その様子に葵が首を傾げたが、一方のツナは何かを察したのかドタドタと家の中へ駆け込んでいく。
「つ、ツナ!?」
「まさか!!まさか!!まさか〜〜〜!!」
玄関には泥の着いた長靴。
そして靴箱にはツルハシが立てかけられており、棚の上にはヘルメットが置かれていた。
ツナの嫌な予感を確信づけるように玄関先にいたビアンキが言った。
「パパン帰ってるわよ」
「やっぱりー!!!」
「!」
「ママンは食料の買い出しにいったわ。パパンが20人前のごちそうペロッとたいらげちゃったのよ」
「さっそくかよ……」
げっそりとするツナに追い打ちをかけるように奥からバタバタとフゥ太とランボが走ってくる。
だが足取りはおぼつかず顔を真っ赤に染めた二人を見てツナはまた嫌な予感がしていた。
「ぼくひんぱいひたんらから〜〜」
「ガハーーツナ四人いるもんね!!」
「酒くせーーーー!!」
「ツナだいじょ───」
遅れて入ってきた葵が一瞬固まる。
そして玄関には置かれた沢田父の私物を見た後、フゥ太とランボの様子を見て苦笑いをうかべた。
「大丈夫じゃなさそうだね…ってフゥ太何持ってんの!?」
「パパンが水だから飲めって…ヒック」
「ガハハハハ!!葵も四人いるもんねーー!!」
「酔ってる…?」
「(最悪だ最悪だ!!葵にこんなとこ見られるなんて……!)」
だがツナはあることに気づいてしまう。
フゥ太達をこんな風にした張本人が家の中にいることを。
むしろそれを葵にだけは見られたくないと思い、すぐにリビングへと駆け出した。
近づくに連れて大きくなるいびき。
リビングに入ると食べ飲み散らかし、タンクトップとパンツ姿で鼻ちょうちんを膨らませてアホ面で寝ている自分の父親の姿。
あまりのダメっぷりに絶望する反面、自分の父親に間違いないと確信した。
「(父さんだ…ダメオヤジ帰ってきたーー!!)」
「ツナー!どうしたの?そんな慌てて…」
「!」
ツナを追ってきた葵をリビングに入れないように両手を広げて行く手を阻む。
その様子に首を傾げながらどうしたの?と問いかけた。
「ちょ、ちょっと父さんが部屋散らかしてて見せられる状態じゃないって言うかなんというか…」
「やっぱりツナのお父さん帰ってきてたんだ。挨拶しないと───」
「ま、まだ良いよ!父さん疲れて寝てるみたいだから起きてからにしよう!(あんな姿葵にだけは見られたくない…!!!)」
頑なに拒むツナに折れた葵はまた後で挨拶することに。
それを聞いたツナはほっと安堵の息を漏らすと葵の手を引いて早く補習の勉強やっちゃおうと2階へ上がっていった。
そんな二人とすれ違うようにリボーンが帰宅し、ツナのお父さんが眠るリビングへと向かう。
「……来たか沢田家光」
リボーンの問いに全く反応することなく家光はいびきをかきながら眠り続ける。
だがリボーンはお構いなく話を続けた。
「お前がこのタイミングでハーフボンゴレリングを息子にたくすってことは…あっちでとんでもねえことが起こってるんだな」
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