◎ 再会とリングと(2/6)
ディーノが手配してくれたのは並盛市内にある中山外科医院。
処置を施されベッドで眠っているバジルがいる病室に葵達はいた。
ディーノがロマーリオへバジルの容態を聞くと大丈夫だと笑った。
「命に別状はねえ。よく鍛えられてるみてーだ。傷は浅いぜボス」
「あの…で…彼…何者なの…?やっぱりボンゴレのマフィアなんですか?」
「いや、こいつはボンゴレじゃない。ただ一つ確実に言えることは…バジルはツナの味方だってことだ」
千李の説明だけではまだ納得ができないツナと葵は疑問符を浮かべる。
「ボンゴレが敵で、ボンゴレじゃないバジルが味方って……」
「つーか別にオレ、敵とか味方とかありませんから」
「それがなあ、ツナ。そーもいってらんねえみたいだぞ」
「あのリングが動き出したからな」
リボーンが言うリングとは恐らくスクアーロが奪っていった箱の中にあるバジルが“ボンゴレリング”のこと。
リボーン曰く正式名称は“ハーフボンゴレリング”と言うらしく、本当なら3年後までしかるべき場所で保管されるはずだったボンゴレの家宝らしい。
「もしかしてすんげー高級な指輪だとか?」
「確かに値のつけられない代物だがそれだけじゃねーぞ。長いボンゴレの歴史上、この指輪のためにどれだけの血が流れたかわかんねーっていういわくつきの代物だ」
それを聞いてツナはガーンと驚きを隠せない。
葵も思わず苦笑いを浮かべていた。
その話を聞いてツナは逆にスクアーロが持って行ってくれてよかったーと漏らすと千李とディーノが困ったように笑顔を貼り付けながらツナを見つめる。
「それがなあ…ツナ…」
「?」
「ここにあるんだ」
そう言ったディーノの手には確かにスクアーロが持っていった箱と全く同じものが握られており、思わずツナと葵から驚きの声がもれる。
「な…なんでーーー!!?だってリングは奪われたはずじゃ…」
「こっちが本物だ」
「ちょっと待って…じゃあさっきのは……?」
「オレは今日このために来たんだ。ある人物からこれをお前に渡すように頼まれてな」
ディーノはそう笑う。
ディーノの目的はハッキリしたが、千李の目的はなんだろうと疑問に思い葵はチラッと視線を送る。
それに気づいた千李はこころなしかいつもより控えめに笑い返しながら口を開いた。
「オレはディーノと同じ人物から頼まれてんだ。お前に話さなきゃいけねーことがあってな」
「オレに話さなきゃいけないこと…?」
「でも───」
千李は困ったように笑いながら、顔を青くしリングを受け入れられないツナに目を向ける。
「えーー!?またオレに!?なんでオレなのー!!?そんな恐ろしいリング〜!!」
「そりゃーおまえがボンゴレの…」
「ス…ストップ!!家に帰って補習の勉強しなきゃ!!葵ガンバロ!!」
「あ…う、うん?」
「な……」
「じゃ。ディーノさん、千李さんまた!!リボーン先に行ってるぞ」
「おいツナ……?」
ツナは葵の腕を掴むと逃げるようにその場から出ていってしまう。
騒がしくもの音を立てながら出ていく二人にディーノは困ったような表情を浮かべた。
一方の千李はお腹を抑えて笑いを耐えていた。
だがリボーンはそんな様子に動じることなくバジルを見ながら零した。
「…………バジルは囮だったんだな……」
「ああ…。おそらくバジル本人も知らされてねえだろな」
「あの人のことだ。こうなることは読んでたんだろーが相当キツイ決断だったと思うぜ。つーかこれ、直接ツナに渡せばいいのにな。あの人、オレらと一緒に日本に来たんだぜ?」
「そーか…あいつ来たのか…」
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