◎ 新たな敵(4/4)
「う゛お゛ぉい。ソレを渡す前に何枚におろして欲しい?」
「渡してはいけません沢田殿」
「え!?ちょっなんなの?どーーなってんのー!?」
訳も分からないままバジルに渡された箱を抱えながらツナは戸惑いを隠せない。
そんなツナの守るように葵は前に立ってスクアーロを見つめた。
「あいかわらずだな。S(スペルピ)・スクアーロ」
「!?」
「!!(この声は……!)」
「子供相手にムキになって恥ずかしくねーのか?」
「ディ…ディーノさん!」
ロマーリオを初めとする大勢の部下を引き連れ、ムチを構えながらディーノはスクアーロを睨みつける。
ディーノの姿を確認するや否やスクアーロは少し目を見開く。
「!跳ね馬だと!?」
「その趣味の悪い遊びをやめねーっていうんならオレが相手になるぜ。もしくは───」
「チャオー」
「!(この声は───)」
「オレでも良いぜ。スクアーロ先輩よ」
「に…兄さん!?」
ディーノの背後から現れたのは千李の姿。
千李は葵とツナを見つけるとヘラッと笑いながら手を振るが、緊張感のないその様子に葵は思わずため息を吐いた。
するとスクアーロは千李の姿を見るや否やニヤッと笑って挑発を始めた。
「あん時のクソガキか。図体と態度だけは大きくなったみてーだな」
「それはどーだか。こう見えてもアッビサーレファミリーの時期ボス候補だかんな」
「!(日本のガキこんなコネもってやがんのか。跳ね馬ディーノに、アッビサーレ…こいつら相手するとなると一筋縄じゃいかねーか)」
上記を整理したスクアーロは構えていた剣を下ろすとディーノと千李に視線を向けた。
「う゛お゛ぉい。お前らをここでぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやりやったとなると上がうるせぇ。今日のところはおとなしく……」
「!!」
「帰るわきゃねぇぞ!!」
バジル目掛けて繰り出された蹴りに間一髪葵は勘づき、バジルの盾になるように躍り出る。
だが急なことで対処しきれずバジルと共に少し吹き飛ばされてしまった。
しかし、スクアーロの本命はそちらではなく───
「ぎゃっ」
「ツナ!!!」
守っていた葵がそばを離れたのを良いことにスクアーロはツナの髪の毛を乱暴に掴み上げる。
その様子にディーノはムチを、千李は銃をスクアーロに向けて構えるが剣に仕込んでいた火薬地面に打ち込みそれを阻止する。
辺りが爆煙に包まれる中、ディーノはツナ、千李は葵とバジルの無事を確認するとひとまず安堵の息を吐いた。
しかし、
「貴様らに免じてこいつらの命はあずけといてやる。だがこいつはいただいてくぜぇ。う゛お゛ぉい」
スクアーロの手には先程までツナが持っていた箱が握られており、バジルはたまらず叫んだ。
「ああ!ボンゴレリングが…」
「!!ボンゴレリング…?」
スクアーロは箱を奪うと目にも止まらぬ速さでその場から離脱していく。
それをバジルが追おうとしたが戦闘で負った怪我が痛むのか地面に蹲ってしまい、近くにいた葵がそんなバジルを支えながら心配そうに見つめる。
「深追いは禁物だぞ」
「!リボーン。なんで今更出てくるんだよ!!どーして助けてくれなかったんだ!?」
「オレや葵は奴に攻撃しちゃいけねーことになってるからな」
「…………」
「な…何でだよ」
「ツナ。それは…スクアーロもボンゴレファミリーだからだよ」
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