◎ 新たな敵(3/4)
「う゛お゛ぉい。なんてこった…」
ツナの額に灯るオレンジ色の死ぬ気の炎。
そして毛糸が変形し“]”とボンゴレのエンブレムがデザインされたグローブを見た男の顔色が変わる。
「まさかおまえ噂に聞いた日本の…そうか……お前と接触するために……ますます貴様ら何を企んでんだぁ!?死んでも吐いてもらうぞぉ!オラァ!!!」
「うおおお!!!」
普段のツナからは考えられないような重いパンチが男目掛けて繰り出される。
だがそれを軽々と受け止めると剣でなぎ払っていく。
グローブでガードしたため斬られこそしなかったが少し吹き飛ばされてしまう。
「う゛おぉい。よえぇぞ」
「ぐあぁ!!」
「死ぬ気弾じゃ歯が立たねーのか」
リボーンも本当は骸戦で使った小言弾を撃ちたかったがあれを使うと今のツナでは2週間ほど筋肉痛で動けなくなってしまうのだ。
男に為す術もないままツナの死ぬ気モードの時間が終わってしまう。
額の炎が消えて正気を取り戻したツナの前には件を構えて迫り来る男の姿。
「う゛お゛ぉい。いつまで逃げる気だぁ!?」
「ひいいっ」
「腰抜けが!!」
そういってツナめがけて剣が振り下ろされそうになった時だった、男の死角から並盛指定のスクールバッグが投げられる。
男はそれに気づきバッグを弾くがその後ろから迫り来る一つの小さな影。
裏の裏をかかれてしまった男はガードが遅れてしまい蹴りによって少し後ろに仰け反ってしまう。
その隙を着いてツナの元に駆け寄るとニッと笑いかけた。
「待たせてごめん!大丈夫?」
「葵ーー!」
「葵……?」
到着した葵の姿をみてツナは安堵の笑みを浮かべる。
再び葵は男に向き直ると互いの顔を見るやいなや二人とも目を丸くし驚きを隠せない様子だった。
「スクアーロ…!?」
「てめぇ…山下葵かぁ!?」
「え、えー!?知り合いなの!?」
「知り合いも何も───」
「二人とも伏せてください!!」
「「!!」」
少年の掛け声とともに葵とツナは地面に伏せるとその瞬間、煙幕が投げられたのか煙が辺りを包み込みその場にいる全員の視界が奪われていく。
そんな中少年はツナと葵の腕を引き男から距離を取り物陰に隠れた。
「バジル!どうして日本に…それにその怪我……!?」
「すみません、葵。今はそれに答えるより先にやることが…」
「き…君!大丈夫なの?」
「沢田殿。拙者はバジルといいます。親方様に頼まれて沢田殿にあるものを届けに来たのです」
「!」
「オレに?…つーか親方様って…」
「これです」
バジルが取り出したのは綺麗な装飾が施された箱。
蓋を開けると箱の中には7つの指輪が厳重に保管されていた。
だがツナと葵はそれが何なのかよくわからず頭に疑問符を浮かべているとバジルはリボーンが知っていると話した。
「リボーンさんはわけあって戦えません。恐らく葵も───」
「!」
「これを持って逃げてください!」
「!!ちょっ急にそんなこと言われても」
「こんな酷い怪我しててバジルも戦えるわけ…!!」
「う゛お゛ぉい」
隠れていたつもりだが銀髪の男…スクアーロにすぐに見つけられてしまった。
「そぉいぅことかぁ。こいつは見逃せねぇ一大事じゃねーかぁ。貴様らをかっさばいてからそいつは持ち帰らねぇとなぁ」
「くそ…!」
「ひいいいっ!なんなのーー!!どーしよー!!」
遠目でその様子を見ていたリボーンも珍しく少し顔をしかめながら呟いた。
「………やべーな」
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