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 受け応えろ!インタビュー(1/4)



9日前、地方都市 泥花町。

それは惨劇への序章。
俺たちが気づいていない間に厄災の種は既に撒かれていたのだ。



「…………」



呆気なく崩れていく街並み。
砂埃を巻き上げた瓦礫の上に立つのは一人の男。



「ハハッ。ハハハハハハ!!



頭から血を流しボロボロの姿にもかかわらず大口を開けて無邪気に笑った。
そんな奴を俺はただ黙って見つめていた。







「仮免取得から僅か30分後にプロ顔負けの活躍!!普段から仲良く訓練されてるんでしょうか!?」



大きなカメラを前に少し苦笑いを浮かべながら質問を繰り出すアナウンサーの女性。
その視線の先にいるのは────



「そう見えンなら眼科か脳外科行った方がいいぜ」

「仲はいいです」



いつも通り着崩した制服とソファに体を預けてムスッと不機嫌な顔の爆豪。
いつも通りちゃんと気崩さずに制服を着て、背筋を正してほけーとした顔の轟。

爆豪は轟の発言を聞くや否や青筋を浮かべた。



「ハア!?テキトーこいてンじゃねーぞ。いつ仲良くなったんだコラ」

「仮免補講で二人一緒にいる事多かったろ」

「何だそのシステムは。時間と親交は比例しはェンだよ」

「システムって何だ」

「知らねーよ。てめーも脳外科行ってこいやァ!」



絶望的に噛み合わない二人の会話。
インタビュアーを差し置いた二人のやり取りが面白くて笑いをこらえるのに必死だった。

そこから日は流れて12月下旬。
終業まであと数日となった時、1-Aの教室から大きな笑い声が響いていた。



《仲は良いです》

《はい。恐怖はなく────》

「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

「一時間もインタビュー受けて!!」

「爆豪まるまるカット!!」

「使えやぁああ……!!」

「あははははっ!!はははっははははは!!」

「おい寝坊助!てめーはいつまで笑ってンだ。いっそそのまま笑い死ねェ!!」

「面白すぎて、死ぬかと、思っ…………あははははは!!!」

「くそがぁあ……!!!」

「はー……でもさ。ある意味守ってくれたんだな」

「だね」



轟(と爆豪)の活躍がこうやって取り上げられるのは同じクラスメイトとしては誇らしいし、刺激になる。
そのまま動画サイトで流れているニュースを見ていると次の話題に。
先程とは打って変わって襲撃により建物が崩壊していたりと深刻なダメージを受けている街の様子が映し出される。



《彼らには一刻も早くプロとして活動してほしいですね。泥花市の悲劇を繰り返さない為にも────…事件から今日で9日。たった20人の暴動約50分程で泥花市は壊滅に追い込まれたのです》

「……酷いな」

「被害規模は“神野”以上らしいけど地方だったから死者数は抑えられたみたいだな」



横から俺のスマホを覗き込みながら尾白が呟く。



《ヒーローの失墜を狙った計画的犯行と見られていますが街の声は───》

《泥花の英雄たちを責めるのは愚かしい。制度の緩和を議論していくべきです》

《泥花のヒーローも攻められないよ。要請の精査をしろって?後だから言えることさ》

《ヒーローもっと頑張ってほしい!私たちもガンバルからーみたいな!?》

《以前ですとこういった“ヒーローがハメられた”事件に関してはヒーローへの非難一色だったわけですが、しかしまさに今時代の節目と言いましょうか…「非難」が「叱咤激励」へと変化してきているんですよね》



コメンテーターの発言を聞いた麗日は口を開いた。



「“見ろや君”からなんか違うよね」

「エンデヴァーが頑張ったからかな!」

「……」



楽観視しないで!!








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