◎ メッセージ(4/6)
巨大な高層ビル。
入口には炎をあしらった「E」のエンブレム。
入るや否や迎えてくれたのは有名なサイドキックたち。
「ようこそエンデヴァー事務所へ!」
「(バーニンだ…!)」
「俺ら炎のサイドキッカーズ!!」
「爆豪くんと焦凍くんははじめてのインターンってことでいいね?今日から早速我々と同じように働いてもらうわけだけど!!見ての通りこの大手!!サイドキックは30人以上!!
つまァりあんたらの活躍する場は!!なァァい!!」
バーニンの挑発的な言葉に爆豪はニヤッと笑う。
「面白ェ。プロよお株を奪えってことか」
「そゆこと!ショートくんも!!息子さんだからって忖度しないから!!せいぜいくらいついてきな!!」
俺らを迎えてくれたバーニン達もそうだが、周りにいるサイドキックたちも出動要請を受けてテキパキと声を掛け合いながら動き回っていた。
まさに現No.1ヒーローの事務所に相応しい活気に満ち溢れている。
「基本的にはパトロールと待機で回してます!緊急要請や警護依頼、イベントオファーなど1日100件以上の依頼を我々は捌いている!」
「(へえ…手広くやってるんだなあ…)」
「そんじゃあ早く仕事に取り掛かりましょうや。あのヘラ鳥に手柄ブン取られてイラついてんだ」
「ヘラ鳥ってホークス!?」
また変なあだ名つけて……。
「威勢は認める。エンデヴァーの指示を待ってな!」
「100件以上捌くんだろ。何してんだよ」
「……っ(爆豪…ホント笑わせんな…っ!)」
「かっちゃんもうやめて!ヤバい!」
「ハッハッハッハッ。いい加減にしろよおまえ!」
「まーしかしショートくんだけ所望してたわけだし多分は3人は私たちと行動って感じね!」
エンデヴァーは事務所に戻るや否や神妙な面持ちのまま一人執務室へ篭ってしまった。
このままだと今日は1日待機で終わってもおかしくない。
せっかくNo.1ヒーローの仕事を見れると思ったんだけど…まあせめてバーニンたち他のサイドキックと一緒に仕事させてもらえるなら文句は言えないか。
モヤモヤしつつも所詮俺らは受け入れてもらった身なわけでワガママは言ってられない。
自分の気持ちに整理をつけようと考えている中、あいつはお構い無しに自分の気持ちをぶつける。
「No.1の仕事を直接見れるっつーから来たんだが!」
「…っ!(さすが爆豪)」
「見れるよ、落ち着いてかっちゃん!」
「でも思ってたのと違うよな。俺から言ってみる」
そんなこんなで俺たちがわちゃわちゃとしていると背後にある執務室の扉が開かれる。
中から真剣な顔をしたエンデヴァーが現れた。
「ショート、ハル、デク、バクゴー。4人は俺が見る」
「「「「!」」」」
◆
エンデヴァーたちと別れ大空を飛び移動するホークスだったが何故かその表情は曇っていた。
先程のエンデヴァーとのやり取りを思い出して小さくため息を吐いた。
「(エンデヴァーさん鈍そうだしな〜。ちょっと回りくどすぎたかなァ〜。表情で察してとか我ながら…気持ち悪〜〜)」
No.2ヒーロー ホークスは公に公表されていないがヒーロー公安委員会直属でもある。
その公安から敵連合への潜入を命じられ裏でいろいろと画策をした結果、最近になって敵連合と異能解放軍が合併して誕生した“超常解放戦線”への加入に成功し、二重スパイとして暗躍していた。
だが盗聴器や小型カメラを翼に取り付けられ常時厳しい監視下におかれており、暗号でしか公安へ情報を流せなくなっている。
そんな中でのエンデヴァーへの情報共有は先程手渡した1冊の本が鍵を握っていた。
「とりあえず解放思想の浸透をガンバってます!」
「おいホークスおまえすげー頑張るな!良い奴だな!!悪人だろ!俺の部下にしてえよ!」
「どーも。公安は未だに“連合は少数で潜伏してる”と思ってます!解放軍の存在に気付いてない。泥花市事件の連合関与について捜査中ですが戦士たちが上手くやってますあとは悠長な後進育成が始まってますねー」
「ああ。エンデヴァーの元に4人いたな」
「あまり成長してねえみてえだな」
「まーー言っても学生ですからねーー」
どれだけ小さなSOSも取りこぼさないように鍛えてきた。
“剛翼”は振動幅から音の種類を割り出す。
「(聞こえてるぞ)」
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