◎ メッセージ(2/6)
エンデヴァーはどんどんと速度を上げていく。
衝撃音が鳴り響く前に走り出していた。
迅速なんてものじゃない。
常日頃から辺りを警戒し、微細な変化すら感じ取る意識付けをして来たからこそできる。
流石No.1ヒーロー。
「!」
「(赫灼を…!)」
今のままじゃ容易に置いていかれる。
それじゃダメだ。
もっともっとスピードが必要。
誰かを救けるためには誰よりも速くその場にたどり着いていなくちゃいけない。
「(無駄な放出をせずに絞って……今は自分一人だけを運べる位の出力で更に速く…!!)」
「!(ハル……!!)」
エンデヴァーの背を追っているとビルの間に一人の老人が浮いていた。
その老人はどうやらガラスを操る個性持ちらしくビルの窓ガラスを吸収すると自身の頭上に大きなガラス玉を作り上げる。
そこに向かってエンデヴァーは一直線へ向かっていった。
「(エンデヴァーはきっと“ヘルフレイム”で迎え撃つ。周りに被害が出ないように考慮しているはずだけどビル内にいる人たちは逃げられず、窓ガラスもなくダイレクトに熱が加わってしまう)」
ならば!
「炙り出さん!冥王の使いをいでよ!!」
老人は大きなガラス玉を向かってくるエンデヴァー目掛けて投げる。
それに対してエンデヴァーは自身の体の熱をどんどん上げていきガラス玉とぶつかると同時に“赫灼熱拳”を放ち粉々に砕き防御すると共に周りへの二次被害も最小限に抑えた。
「エンデヴァー!!!あちち……くない?」
「見て!水の壁が────」
「濡れるからもっと奥いけ!この時期寒いだろ!」
“温冷水”で増幅させた水を窓ガラスのなくなったビルに壁のように発生させることで“赫灼熱拳”の炎を防ぐ。
残念ながら俺とエンデヴァーの個性の相性はあまり良くない。
経験値や相性などを鑑みて、敵の対処はエンデヴァーに任せて俺はサポートに回るのがこの場での最適解と判断しての行動だった。
「おおおおお喉が焼ける!!」
「!エンデヴァー!北西ツインビルの路地に敵が逃げ込みます!!」
「わかっている!!」
エンデヴァーは路地に入り敵を追撃する。
俺は別ルートから回り込んで挟み込もうとした時、緑谷達の姿が見えた。
「ハル!」
「そっちに敵逃げ込んだ!エンデヴァーが追ってるから俺らは先回りして挟み撃ちするぞ!!」
「おい!あれ────」
轟の指さす方にはちょうど路地の出口に待ち構えている敵の姿。
どうやらおびき出したエンデヴァーの不意打ちを狙っているようだ。
「させっかよ!!」
爆豪の叫び声とともに俺たちは一斉に敵たちに向かった。
そしてちょうど老人とエンデヴァーが姿を現したと同時に俺たちも到着して撃退!と思われたが……。
「あれ?ああ!!インターンか!」
「その声────」
「ごめん。俺の方がちょっと速かった」
「ホークス!?」
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