◎ 冬休み(7/8)
「お風呂いただきました」
「はーい。ハルくん、ミカン好き?」
「はい!」
「よかったらこっちで一緒に食べましょ」
ちょうど緑谷がお風呂に入っていておばさんと二人きり。
少し緊張するけど…せっかくの誘いだと思って俺はリビングに腰を下ろした。
頂いたミカンは甘くてとても美味しかった。
「…雄英での生活はどう?」
「!」
突然告げられた寮生活。
親御さんが心配するのも当たり前だよな。
なんて返そうか一瞬悩んだけど、変に望んだ答えを返すより思ったままのことを話した方が良いかと思った。
「正直大変です。だけど……それ以上に楽しいです」
「!」
「みど……出久くんを初め個性的な仲間がたくさんいて、みんな生まれた環境も育ってきた境遇も違う。だけどみんな人のことを思いやる気持ちが根底にあるから…優しくて温かくて…そんなみんなから学ぶことがたくさんあります」
「…良い友達に恵まれているのね」
「はい!」
俺が笑うとおばさんの表情も和らいだ。
「インターンはどうだった?出久と同じ事務所だったんでしょ?」
「インターンは…そうですね。いろいろとありました。そこで出会ったエリちゃんっていう女の子がいるんですけど……出久くんとたくさん会いに行って話していくうちに笑ってくれるようになって…あ!最近一緒にクリスマス会をしたんですよ。楽しそうに笑ってくれてたのががすごく嬉しくて…!」
「!」
「あと出久くんもすごいんですよ。前まで自損覚悟でボロボロだったのに今となってはその力を自分のものにして使いこなしていて、たくさんの人を救けています。彼のことを見てると俺も頑張ろうって思えてくるんです。それはきっと…俺だけじゃなくてみんなそうだと思います」
「そう…」
俺の拙い話をおばさんは優しく聞き続けてくれた。
おばさんの温かい雰囲気がそう思わせるのか、俺は母さんに話すかのように学校での出来事を話していた。
「ねえねえお母さん!今日保育園でヒロと幸がね─────」
「そっか!二人と遊んで楽しかったんだね!」
「うん!!」
「雄英の子たちが良い子たちばかりで本当に良かった。出久もすごく楽しそうに連絡してくれるのよ」
おばさんは優しく笑いながら言った。
「ハルくん。出久と仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしくね」
「はい!」
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