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 メリれ!メリークリスマス!(2/6)



あれからいろいろとお店を見て回ってエリちゃんが気に入るプレゼントを買うことが出来た。
そして今SNSで人気を博しているあの店に並んでいた。


「はーい皆さんこんにちはー!歌って踊っちゃうS・Dアイスクリームでーす!」



店員さんが手馴れた手つきでアイスクリームディッシャーをジャグラーのように投げたり、歌いながらアイスを盛り付けてトッピングしていくパフォーマンスにエリちゃんは釘付けになっていた。



「はーい!お次は……あら可愛いお嬢さんとかっこいいお兄さんとクールなお父さんの3人ですね!」

「!!」



相澤先生が俺らのお父さん…!
あまりのパワーワードに笑いそうになっているとやめろと言わんばかりに先生からつつかれる。



「俺はチョコレートアイス。エリちゃんは───」

「イチゴのアイスください!」

「ちゃんと頼めて偉いな。相澤先生は?」

「俺はキャラメルアイスを」

「…………」

「なんだその顔は」

「先生って甘党ですか?」

「悪いか?」



無事に注文を終えて待つのみ、なのだがこのアイスクリーム屋は少し違って……。



「じゃあみんなで一緒に歌ってくださいねー!」

「!!!」

「…………」



少し後ずさる相澤先生の腕をガッと掴む。
そしてエリちゃんには聞こえないように小声で話しかける。



「先生ダメですよ。エリちゃんのあの顔見てください」

「わあ……!」

「………ったく」



ということで頑張って歌って美味しいアイスを作ってもらいました!
ちなみにその様子をミッドナイト先生がこっそり隠し撮っていたことは後ほど知る話……。



「!ハルさんあれって────」

「ピアノだ」



1階にあるイベントスペースに大きなクリスマスツリーとこのモール名物の誰でも弾けるストリートピアノがあった。
エリちゃんはツリーにも目を輝かせながらピアノを指差しながら俺に何かを訴えかけてくる。
その様子を見た相澤先生が頭に疑問符をうかべた。



「おまえピアノも弾けるのか?」

「すごいの!シャララーンってきれいなの」

「器用だな」

「そんな大層な腕前じゃないですけどね」



人前で弾くほどの腕前ではないけどエリちゃんからのリクエストとあらば1曲だけ軽く弾くかな…。

俺は鍵盤をポロンポロン叩きながら何を弾こうか考える。
普段弾いてるエリちゃんが知ってる曲も良いかと思ったけど……せっかくのこの装飾。
クリスマスらしい曲でも弾くか!



「ハルさんすごい!!綺麗!!」

「たいしたもんだな」


「真っ赤なトナカイだ!」

「あのおにーちゃんピアノ弾いてる!」



ピアノを弾いてると思い出す。
母さんがピアノを弾く姿、弾いてくれた曲。
心があったかくなって、やさしい気持ちになる。




真っ赤なお鼻のトナカイさんはいつもみんなの
わらいもの

でもその年のクリスマスの日サンタのおじさんはいいました

暗い夜道はぴかぴかのおまえの鼻が役に立つのさ

いつも泣いてたトナカイさんは今宵こそはとよろこびました




「「「わあああああ!!」」」

「!?」



弾き終わると同時に聞こえてくる歓声と拍手。
慌てて周りを見渡すとエリちゃんや相澤先生以外に買い物に来ていた多くの人たちが俺たちを取り囲むように立って笑っていた。

こんなにたくさんの人に聞いてもらっていたとは思ってなくて少し恥ずかしい半面、みんなが笑ってくれているのが嬉しくて俺も笑みがこぼれた。



「お兄ちゃん!他にも弾いてよ!」

「あはは…(うーん…どうしたもんか……)」

「ハルさん!」

「!」

「私も聞きたい!」

「…………」



そんなこと言われたら─────



「もう一曲だけね」



また指が踊りだす。





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