◎ 受け応えろ!インタビュー(2/4)
突然開かれた教室の扉。
そこから現れたのは─────
「良い風向きに思えるけれど、裏を返せばそこにあるのは”危機”に対する切迫感!勝利を約束された者への声援は果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?ショービズ色濃くなっていたヒーローに今真の意味が求められている!」
「Mtレディ!?」
「わあああ!!」
「と、ミッドナイト先生!」
その後ろから寝袋を身にまとった相澤先生が顔を出す。
「特別講師として招いたんだ。おまえら露出も増えてきたからな。ミッドナイトは付き添い」
いろいろと言いたいこともある奴もいるみたいだけど、それはさておきMtレディは「Media」と書かれたカードをかざす。
「今日行うは“メディア演習”。現役美麗注目株(わたし)がヒーローの立ち振る舞いを教授します!!」
「何するかわかんねェが…みんなぁ!!プルスウルトラで乗り越えるぜ!!」
切島の熱い言葉にみんなもおー!とやる気マンマンに答える。
早速コスチュームに着替えて指定場所まで向かってみると何故か記者会見などで使われる背景看板が立てられその周りを取り囲むようにカメラマン役の人がスタンバイしていた。
「(……嫌な予感)」
「“ヒーローインタビュー”の練習よ!!」
「「「「「(緩い)」」」」」
早速Mtレディは今回事件解決でインタビューを受けたばかりの轟をステージ上に手招く。
そしてMtレディがインタビュアー、轟がそれに答える役になって演習が始まった。
「凄いご活躍でしたねショートさん!」
「何の話ですか?」
「なんか一仕事終えたていで!はい!!」
「はい」
「ぬるっと始まったな」
「轟の天然が炸裂しそうな予感」
「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょう!?」
「俺が来て….皆が安心できるような…」
「素晴らしい!!あなたみたいなイケメンが助けに来てくれたら私逆に心臓バクバクよ」
「心臓…悪いんですか…」
「ぶふっ!!」
「はい。ハル1笑いー」
「ケツバットすっか?」
轟の天然発言本当に面白い……ツボだわ……。
「やだなにこの子!?(カワイイ。ほしい)」
「?」
「……こほん。どのような必殺技をお持ちで?」
Mtレディがそう尋ねると轟は左手を振りかざし“氷結”で大きな氷の壁を作り出す。
「“穿天氷壁”。広域制圧や足止め・足場づくり等幅広く使えます。あとはもう少し手荒な“膨冷熱波”という技も…」
「あれ?B組との対抗戦で使ってたやつは?」
「エンデヴァーの」
「“赫内熱拳”!」
「……は親父の技だ。俺はまだあいつに及ばない」
「俺ももっと上へ行くよ」
轟にとってエンデヴァーは越えるべき壁になったんだと、そう思わされた一言。
それを聞けて…よかった。
轟のインタビュー練習は終わりMtレディからの総評へ移る。
「パーソナルなとこまで否定したいけど安心させたいなら笑顔をつくれると良いかもね」
「笑顔……(といえば────)」
何故か轟は俺の方に振り返りじーと見てくる。
なんでかわからなくてとりあえず俺は笑ってみると口角部分を手で触りながら無表情のままMtレディの方へ向き直った。
「??」
「あなたの笑みなんて見たら女性はイチコロよ♡」
「俺が笑うと死ぬ……!?」
「もういいわ!」
Mtレディに対して常闇は技も披露するのか?と問う。
するとステージの上からなるべく目線が近くなるようにとしゃがんで俺たちに答えた。
「あらら!ヤだわ雄英生。皆があなた達のこと知ってるワケじゃありません!必殺技は己の象徴!何が出来るのかは技で知ってもらうの。即時チームアップ連携。敵犯罪への警鐘。命を委ねてもらう為の信頼。ヒーローが技名を叫ぶのには大きな意味がある」
「(“必殺技は己の象徴”……)」
オールマイトや緑谷なら“スマッシュ”。
エンデヴァーなら“赫内熱拳”。
轟に“穿天氷壁”があるようにクラスのみんなにも各々象徴となるような必殺技を持っている。
それを自分に落とし込んだ時に俺はそれをまだ持っていないことを悟った。
俺がなりたいヒーロー像。
どんなヒーローに?どうやって?なぜ?
考えれば考えるほどドツボにハマってしまって答えを出すことが出来なかった。
「(……きっとこれが俺の課題だ)」
「…ちょっと前でカメラ映りしか考えてなかったハズだぜ。あの女…」
職場体験でMtレディの事務所に行っていた峰田がぽつりと呟く。
それに対して相澤先生が答えた。
「Mtレディだけじゃないよ。今ヒーローたちが引っ張られてるんだ。No.1ヒーローに」
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