◎ ヒーロービルボードチャートJP(5/7)
ふと後ろにある洸汰が履いてきたであろう赤いスニーカーに気づく。
「あれ?この赤いスニーカーって……」
「!」
「あら。水科くん気づいた?緑谷くん見てよ」
「え?」
「やっやめろよ!」
マンダレイに促されて緑谷もスニーカーに目を向ける。
そこにはいつも緑谷が愛用している赤いハイカットスニーカーを連想させる同じ赤色のスニーカー。
「自分で選んだんだよ。“絶対赤だ!”って」
「べっ…違っ…」
「お揃いだ!」
緑谷がそう言って嬉しそうに笑うと、その笑顔を見た洸汰は恥ずかしげに顔を赤らめながら口を噤む。
そんな2人のやり取りをみんな和やかに見守っていた。
その時、プッシャーキャッツたちにとお茶を用意しながら砂糖が訪ねた。
「しかしまた何で雄英に?」
「復帰のご挨拶に来たのよ」
ピクシーボブの言葉に皆はおめでとうございます!と声をかける。
だが“個性”を奪われたラグドールに関しては、ヒーローとしてではなく事務仕事で3人をサポートすることになったらしい。
定期的にタルタロスから連絡は来るが、ラグドールの“個性”を戻すにはオール・フォー・ワンが“個性”を使う必要がある。
それで良ければ、と挑発的な発言をしているらしい。
奴の中にどれだけの“個性”が内に秘められているか追求中で、現状“何もさせない”ことがオール・フォー・ワンを唯一抑える方法で、現状維持を受け入れるしかないようだ。
「……では何故このタイミングで復帰を?」
「今度発表されるんだけどヒーロービルボードチャートJP下半期。私たち411位だったんだ」
ヒーロービルボードチャートJP。
事件解決数、社会貢献度、国民の支持率などを集計して毎年2回発表される現役ヒーロー番付。
すなわち上位に名を刻んだ者ほど人々に笑顔と平和をもたらしたと言っても過言ではない。
確かプッシャーキャッツの前回の順位は32位。
それを受けて切島が言った。
「成程!急落したからか!!ファイトっす!!」
「違うにゃん!全く活動してなかったのに
拘わらず3桁ってどゆ事ってこと!!」
「支持率の項目が我々が突出していた」
「待ってくれる人がいる」
「立ち止まってなんかいられにゃい!!」
「そういう事かよ。漢だ。ワイルド・ワイルド・プッシャーキャッツ!!」
4人の熱いコメントを聞いた切島は袖で涙を拭いながらグッと親指を立てる。
今まで4人が培ってきた信頼は確かなもので、それが今回の順位にも反映されていた。
4人の今後の活躍にも期待が募るばかりだ。
「ビルボードかァ」
「そういえば下半期まだ発表されてなかったもんね」
「色々あったからな」
そう。今回は今までと大きく違う点がある。
「オールマイトのいないビルボードチャートかァ」
現役No.1ヒーロー オールマイト引退後、初めてのビルボードチャート。
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